被災児ケアに震災の知見 トルコ視察団が石巻訪問 門脇小や子どもセンターらいつ見学
東日本大震災で得られた知見をトルコ地震で被災した子どもの支援に生かそうと、トルコ政府の視察団が8月29日、石巻市を訪れた。一行は、市子どもセンター「らいつ」や市震災遺構「門脇小」を見学。同じく巨大地震で被災した石巻の経験を踏まえ、子どもの心のケアや防災教育に必要とされる視点を学んだ。
昨年2月に発生したトルコ地震では、国内で5万3000人以上が死亡した。発災から1年半以上がたった現地では、被災した子どもに対する支援の充実や改善が課題の一つになっている。
今回の視察は、被災した子どもの心理的応急処置を担う人材の育成が目的で、独立行政法人国際協力機構(JICA)の招待で実現。石巻では、トルコ政府青年スポーツ省の心理士ら10人がらいつを訪れ、スタッフの吉川恭平さんらから施設の理念や取り組みを聞き取った。
吉川さんは、子どもが主体となって取り組む施設運営や、地域づくりを議論するイベントを紹介。社会参加の拠点やセーフティーネットとして同施設が果たす役割を説明し「子どもの主体性を尊重し、大人が待つ、聞くといった姿勢を持つことが重要だ」と強調した。一行は門脇小も見学。渡辺伸彦副市長を表敬訪問した。
トルコ青年・スポーツ省のユーススポーツ専門家、セルハット・サウンチさん(33)は「子どもが受けたショックを癒やすには、らいつのような施設が必要だと実感した。見聞きしたことをトルコでどう生かせるのか考えていきたい」と話した。
参加者は帰国後、青年スポーツ省が運営する施設職員向けの心のケアに関する研修の運営を担う。大地震の伝承に向けたウェブコンテンツや、交流サイト(SNS)を活用した啓発といった防災教育プログラムの開発にも役立てるという。
視察団は8月26日に来日。9月6日まで日本に滞在し、石巻市のほか能登半島地震の被災地や関東地方を訪問する。
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