大災害の実態、石巻で学ぶ 12カ国の若手研究者ら来訪 母国政策提言に反映
防災分野などの次世代を担う世界各国の若手研究者や行政関係者らが、国際交流基金(東京)のスタディーツアーで石巻市内を訪れた。東日本大震災で得られた知見を母国の政策提言などに反映しようと、震災被害の実態や市の復興政策を学んだ。
米国やフィリピン、オランダなど12カ国から15人が来日した。市内には22、23日に滞在し、初日は市防災センターや市内の津波避難タワーを見学。23日は市震災遺構大川小を訪問した。
防災センターでは市の担当者の案内で、災害対策本部室内にある大型モニターやマイクといった設備を確認。災害時の情報収集や被害状況の分析、対応策の検討などの流れや方法を学んだ。
市復興推進課は、震災時の市内の被害や復興政策に関して説明した。担当者は「住まいの再建を最優先に復旧を進め、2022年度にハード事業が完了した。世界各地から物心両面の支援があり、感謝している」などと語った。
参加者は被災者の心のケアや人口減対策などについて質問した。ニュージーランド健康局で緊急事態責任管理者を務めるフランジスカ・ドーサーさん(30)は「母国も地震は多く、日本がどのように災害に対応してきたのか関心があった。コミュニティーの維持を復興の中心に置くことが重要だと感じた」と話した。
スタディーツアーは、国際交流基金のインド太平洋パートナーシップの一環で実施した。防災をテーマに掲げ、21~28日に県内や東京、神戸市内を視察した。石巻市への訪問は、地域活性化や人材育成で市と包括連携協定を結ぶ杏林大(東京)の提案で実現した。
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