アニメ「この世界の片隅に」、監督ら秘話語る 石巻でトークイベント
戦時下の広島・呉で18歳の主人公すずがけなげに生きる姿を描いたアニメ「この世界の片隅に」(2016年)の監督・片渕須直さんと企画・丸山正雄さん(塩釜市出身)を招いたトークイベントが1日、石巻市中央2丁目の市かわまち交流センターで開かれ、製作にまつわる秘話が市民の関心を呼んだ。
イベントは8月31日、9月1日の2日間、同市中央1丁目のシアターキネマティカであった石巻名画座の上映会に合わせて行われた。司会進行を名画座代表の本庄雅之さんが務めた。
丸山さんは、片渕監督がすずの声に俳優のんさんを起用することにこだわったことを紹介。片渕監督は「戦争中に生きる話だが、(キャラクターに)柔らかさみたいなものが欲しかった。すずに、のんさんが重なった」と説明した。
当時の街並みや天候なども念入りに調査、何度も広島や呉に足を運んだ片渕監督は「自分がタイムスリップしたようにその時代に入り込んでいった。すずが本当にいるみたいな感じになった」と振り返った。
丸山さんは「最初、資金が集まらなかった。制作の中断さえ考えた」と明かした。客席にいたプロデューサー真木太郎さんも途中からトークに参加。「出来上がった作品が良いものだっただけに、当てないといけないという緊張感が生まれた」と補足した。
会場には定員50人を上回る市民が訪れた。同市泉町3丁目の仲村真理さん(54)は「興味深く聞いた。楽しかった。映画の見方が深まった」と感激していた。
本庄さんは「県外からの参加もあり、石巻に人を呼び込むことができた。今後に弾みが付くメモリアルなイベントになった」と語った。9回目の上映会で初のアニメ作品だったことについては「これまでと違った客層にアピールできた。子ども連れや10代、20代がいつもより目立った」と手応えを感じていた。
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