閉じる

地域交流、輪の中心に 1人暮らしの東松島・菊地さん、来月100歳 「いつも声かけてもらう」

 16日は敬老の日。石巻地方には3月末現在、6万1556人の高齢者(65歳以上)が生活する。東松島市にお年寄りを気遣ううちに、交流が深まり、地域に緩やかなつながりが育まれたケースがある。輪の中心にいるのは、100歳を前にした1人暮らしのお年寄りだ。(西舘国絵)

近所の住民らとお茶を楽しむ菊地さん(左から2人目)

 東松島市矢本二反走(にたんばしり)の菊地よしのさん(99)は1924年、鷹来村(現東松島市)生まれ。農業をしながら、2012年に亡くなった夫博さんとともに、1男2女を育てた。東日本大震災で被災して14年に災害公営住宅に移り住み、1人暮らしを続ける。

 訪問介護に週2回の掃除を頼む以外は、毎日3食の支度を含め、家事は自身でこなす。先月は新型コロナウイルスに感染し、約2週間入院したものの無事回復。菊地さんは「死ぬ時は家でコロッと逝きたい」と笑う。日常は「韓国ドラマと時代劇を見てぼけ防止している」と言う。

 菊地さんの周囲に人が集まるようになった要因の一つに地区の成り立ちがある。二反走地区には、震災で大曲浜や野蒜など異なる地区から住民が転居してきた。互いの顔と名前が一致しない中、二反走老人会が地域コミュニティーの構築に奔走。交流を深めるうち、最高齢の菊地さんをいたわるようになったという。

 家を訪ねて談笑したり、軒先から姿を確認したり、「今日はどうだった?」と住民同士で情報共有する習慣が生まれた。老人会の門馬善道会長(76)は「菊地さんは生き字引で話も勉強になる。ここを中心に関係性が築かれている」と語った。

 近年は月に1度、近隣住民が菊地さんを連れ立って温泉に通うようになった。運転手役の千葉邦子さん(74)は「母にできなかった親孝行の代わりに、毎月楽しみにしている」と笑顔で話す。

 「いつも誰かが声をかけてくれ、皆さんのおかげでここまで来た」と感謝する菊地さん。10月の誕生会には、20人以上を招待して100歳の誕生日を祝う。

     ◇

 石巻地方では高齢化が進む。3月末現在、石巻は高齢者4万6802人、高齢化率35.0%、県内高齢化率順位20位。東松島1万2424人、32.6%、24位。女川2330人、39.9%、11位。

関連リンク

石巻かほく メディア猫の目

「石巻かほく」は三陸河北新報社が石巻地方で発行する日刊紙です。古くから私たちの暮らしに寄り添ってきた猫のように愛らしく、高すぎず低すぎない目線を大切にします。

三陸河北新報社の会社概要や広告などについては、こちらのサイトをご覧ください ≫

ライブカメラ