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憩いの灯、「加非館」再び かつてのファンが経営継承 石巻

オープン初日から常連客らでにぎわう加非館の店内=11日

 昨年12月、市民に惜しまれつつ閉店した石巻市中央2丁目の喫茶店「加非館」に11日、再び灯がともった。加非館を愛してきたファンが「街中の憩いの場だったここを閉じたままにしておくのは惜しい」と自ら経営を決意、約9カ月ぶりの再開にこぎ着けた。加非館が半世紀近くにわたって街中に培ってきた「カフェ文化」も引き継がれる形となった。

 店名だけでなく内装、カウンター・テーブル席(計約40席)などもそのままに、新オーナーとして加非館を受け継いだのは石巻名画座代表の本庄雅之さん(65)。本庄さんと一緒に新たな街中のカフェ物語を紡ぐスタッフは3人。その中には、かつて常連客だった女性もいる。

 本庄さんは「私をはじめ石巻の人たちにとって加非館は大事な場所だった。特に東日本大震災後は市民の憩いの場であり、県内外から来た人たちの交流の場となった。その空間を取り戻したくて、手を挙げた」と語る。

 この日を待ち望んでいた市民は多い。オープン初日に市内から駆けつけた二見宏さん(80)は常連だった一人で「再びここでコーヒーを飲みながら、友人とゆったりとした時間を過ごすことができる。心が和む場所」と喜んだ。

 1974年に加非館を開業し、マスターとして親しまれた須藤哲也さん(79)は「継承してくれる人が現れてうれしい。加非館に新たな歴史を刻んでほしい」と応援する。

 同じアイトピア通りに喫茶ジジホウダンが今年4月オープンした。老舗の加非館が復活したことで「カフェ通り」が誕生した。

 本庄さんは「お互いに喫茶店の特色を出し合いたい。市民が行ったり来たりできる、カフェ文化の薫りがする活気ある通りにしたい」と張り切る。

 加非館の営業は午前11時~午後6時。月・火曜が定休日。連絡先は0225(23)5065。

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