第16利丸、「ふね遺産」認定 捕鯨最盛期の活躍評価 石巻・ホエールタウンおしか展示
石巻市鮎川浜の牡鹿地区拠点エリア「ホエールタウンおしか」に展示されている捕鯨船「第16利丸」が、公益社団法人日本船舶海洋工学会(東京)の「ふね遺産」に認定された。戦後の捕鯨最盛期に活躍した歴史的価値が評価された。県内では同市渡波の県慶長使節船ミュージアムに係留され、解体された復元船「サン・ファン・バウティスタ号」に続き2件目で、現存船では初めて。
ふね遺産は歴史的で学術、技術的に価値のある船舶や関連設備などを認定する制度。今年で8回目で、認定されたのは現存船や非現存船、建造施設、研究設備、造船関連資料など計51件になった。認定式は13日、東京であった。
第16利丸は1958年、山口県下関市で建造された。捕鯨船団で使用された大型キャッチャーボートで、国内に現存する2隻のうちの1隻。南極海などで約30年操業し、90年に開館した牡鹿地区の観光施設「おしかホエールランド」の展示船になった。
全長約68メートルで、幅約9.9メートル、重さ約758トン。銛(もり)を撃ち込みやすいように船首を高くした独特の構造で、マストにはクジラを探す見張り台がある。石巻市によると、展示捕鯨船は和歌山県太地町にもあるが、乗船できるのは第16利丸のみという希少性も評価された。
東日本大震災の津波では流失を免れたが、ホエールランドは全壊し、乗船展示も中止になった。市は周辺のかさ上げなどを進め、再建したホエールランドを2020年7月にオープンさせた。乗船公開は船体の塗装や修繕を施し、21年11月に再開した。
市牡鹿総合支所地域振興課の担当者は「認定は捕鯨の町のPRにつながる。利丸にも興味を持ってもらい、観光客の増加を図りたい」と話した。
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