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「アラスカ物語」にない、フランク安田の横顔 元湊小校長・遠藤さん語る 石巻

フランク安田の功績を語る遠藤さん(右)

 エスキモーの苦境を救った石巻の先人、フランク安田に関する歴史講演会(石巻観光ボランティア協会主催)が、石巻市中央2丁目の市かわまち交流センターであった。「フランク安田・阿部敬介を語り継ぐ会」代表で、元市湊小校長の遠藤光行さん(利府町)が「小説には描かれていなかった新事実を加えて」の副題で講演した。

 安田は新田次郎の『アラスカ物語』の主人公。1868年同市湊生まれで、若いころ渡米。米アラスカのエスキモー村で暮らしていたが、疫病や食糧難に苦しむ村民に接し、200人以上の人々を800キロも離れた内陸に集団移住させ、ビーバー村という新たな開拓地を築いた。その徳行は「ジャパニーズ・モーゼ」などと評され、今も尊敬されている。

 遠藤さんは、阿部の事績に詳しい宇土康宣さん(盛岡市出身、東京都在住)の研究を基に「小説では単身渡米だが、実際は4歳年上で安田が郷土の先輩と慕う利府町出身の阿部と一緒の渡航だった」と指摘。その後も、安田が給仕として乗船した沿岸警備船ベアー号やエスキモー村で一緒だったらしいことなど3度の巡り合いを強調、小説にない安田の横顔に触れた。

 阿部は小説に登場しないが、語学や医学に通じた英才で鉄道事業を学ぶため渡米。アラスカ沿岸の見聞録を執筆し、千島列島へのトナカイ移入計画を夢見たが、35歳の若さで病死した。

 遠藤さんは「安田の評価が新事実によって損なわれるものではないが、阿部の存在は安田の生きざまに影響したのでは。アラスカ物語とフランク安田は石巻の宝であり、多くの人に知ってもらいたい」と結んだ。

 講演会は9日にあり、約50人が参加した。

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