事故ゼロへ一丸 秋の交通安全県民総ぐるみ運動、きょうから
秋の交通安全県民総ぐるみ運動が21日、県内各地で一斉に始まる。歩行者の身を守る反射材の着用や安全な横断歩道の渡り方、夕暮れ時の早めのライト点灯、自転車などのヘルメット着用の徹底などを重点に、石巻地方でも石巻、河北両署や交通安全関係団体が30日まで、交通事故防止などを呼びかける。
チャイルドシート「体格に合わせ活用を」 JAF宮城支部に聞く
日本自動車連盟(JAF)は13日、チャイルドシートの使用推奨基準を身長140センチ未満から150センチ未満に引き上げた。基準変更の理由やチャイルドシートの正しい着用方法を、仙台市若林区のJAF宮城支部に聞いた。
道交法は6歳未満にチャイルドシートの着用を義務づける。身長の規定はないが、6歳以上でも150センチ未満の子どもはシートベルトのみでは安全を十分に守れない可能性が指摘されていた。企業や団体によって異なっていた推奨基準を統一する目的もあり、協議を進めていた。
宮城支部広報担当の三部司さん(38)は「6歳以上でも身長が低いとシートベルトが効果を発揮しない。体格に応じてチャイルドシートを活用し、命を守ってほしい」と説明する。
チャイルドシートは、付属のハーネスで子どもを固定する乳・幼児用や、座高を高めてシートベルトの装着を補助する学童用など、年齢に応じたさまざまな種類がある。
三部さんによると、学童用の装着時に着目するポイントは子どもの座高。鎖骨、胸骨、肋骨(ろっこつ)にシートベルトがきちんと当たっている状態が正しいという。ベルトの締め付け具合は、ベルトと体の間に大人の指1本分の余裕がある程度が良い。
JAFと警察庁は5月、チャイルドシート着用状況の全国調査を行った。着用率は全国が78.2%、県内は88.5%だった。一方で、シートに正しく着座できていなかったケースが全国で4割を超えた。原因のうち、乳児用、幼児用で最も多かったのはハーネスの締め付け不足で、ともに約半数を占めた。学童用では体格に合わないものを使用していたケースが最も多く33.7%だった。
三部さんは「子どもが自身で調節し、正しく着用するのは難しい。ベルトが緩いとドアや窓のスイッチにも手が届いてしまう。きちんと固定すれば、運転手も安心して運転できる」と呼びかける。
シカとの衝突注意! 河北署がマップ作成
自然豊かな石巻地方では、カモシカやクマなど動物の目撃情報が多い。路上にも現れ、車と衝突事故を起こすこともある。シカの事故の多い河北署は「鹿事故注意マップ」を作成し、住民に警戒を呼びかけている。
マップは2021年1月~23年7月までのシカとの事故発生場所に印を付けた。集中する場所には「カーブが連続する」「田畑が多く街頭もなく暗い」など道路の特徴を書き入れた。管内の道の駅「上品の郷」「硯上の里おがつ」、石巻市の各総合支所などに配布した。
同署管内では今年、8月末時点の全交通事故計154件のうち、16件がシカの衝突事故で、全体の10.4%を占めている。過去3年の年間発生件数を見ても、21年が19件、22年は20件、23年は16件と横ばいが続いている。
発生場所別で見ると、河北地区の釜谷トンネル北側や、桃生地区の神取橋周辺、同署前から登米市に向かう国道45号などに集中する。時間帯では夕方~明け方が約9割を占めた。
同署の山下哲哉交通課長は「シカは急に飛び出してくることもあれば、道路に立っていることもある。少しでも早く危険を察知できるよう、見通しが悪い夜間はハイビームを活用し、スピードを落としてほしい」と呼びかけている。
登校見守り 東松島・矢本西小学区の熊林さん、キャラ姿で
ディズニーキャラクターなどのコスチュームを着て子どもたちの登校を見守る女性がいる。東松島市矢本の熊林智子さん(57)は約15年間、市矢本西小近くの交差点に立ち、子どもたちの安全と笑顔を支えている。
盛岡市出身の熊林さんは自衛隊員の夫と共に2002年、同市に移り住んだ。親類も知人もいない土地で地域住民と交流を持つきっかけをつくろうと、10年に見守り活動を自主的に始めた。
活動するのはコンビニ駐車場前の横断歩道。朝の時間帯を中心に車の出入りが激しく、先を急ぐ荒々しい運転も目立つという。平日はほぼ毎日立ち、同校や市矢本一中に通う子どもたちはほぼ全員の顔を覚えている。
コスチュームは10月~4月中旬、防寒も兼ねて着る。10年以上前、ハロウィーンの変装として身に着けたところ、子どもたちにうけた。今では約10着をそろえる。熊林さんは「子どもに翌日の格好をリクエストされることもある」と笑う。1番人気は人気アニメ「ポケットモンスター」のキャラクター「ピカチュウ」だという。
14年には市教委の「心あったかイートころ運動」の感謝状を贈られた。熊林さんは「子どもたちの元気な声や笑顔がやりがい。矢本西小がある限り続けたい」と話した。
期間中、石巻地方の取り組み
21日
▽交通安全祈願祭(河北署)
▽ひろぶち絆作戦(石巻・広渕交差点)
▽リアス式海岸牡鹿の町ゆっくり走って思い出作りキャンペーン(石巻東消防署牡鹿出張所前)
24日
▽女川町出動式(JR女川駅前広場)
▽交通事故防止街頭キャンペーン(JR女川駅前交差点)
▽歩行者守ろう作戦(1)(石巻・プレナミヤギ前交差点)
▽かなん絆作戦(石巻・ハンズさとう駐車場)
▽交通安全ナイト作戦(石巻・七窪蛇田線交差点)
25日
▽横断歩道止まるっちゃ!ハンドサイン作戦(東松島市矢本二中前)
▽千歳クラブ高齢者講話(石巻・青葉会館)
▽自転車ブロック作戦(石巻・岩城屋商店前)
▽ナイト作戦(石巻・三ツ股第二復興住宅付近交差点)
26日
▽GIS自転車事故ブロック作戦(道の駅「上品の郷」)
▽歩行者守ろう作戦(2)(石巻・プレナミヤギ前交差点)
▽交通安全ナイト作戦(石巻・元倉交差点)
27日
▽交通安全ナイト作戦(石巻・検察庁前交差点)
▽街頭キャンペーン「飲酒運転根絶作戦」(女川・風林火山前)
28日
▽河北地区交通安全大会(河北署)
▽飲酒運転根絶シルバーナイト作戦(ザ・ビッグ矢本店前、ヨークベニマル矢本店前)
29日
▽飲酒運転根絶作戦(石巻・恵み野交差点)
30日
▽いしのまき「絆」作戦(JR石巻駅前にぎわい交流広場など)
▽釜谷トンネル交通安全キャンペーン(石巻・釜谷トンネル北側)
※21日に予定していた石巻市出動式などは雨のため中止した。
自転車走行中の携帯使用、酒気帯びに罰則 改正道交法11月から
昨年4月に自転車乗車中のヘルメット着用が努力義務になってから約1年半。11月には、新たに自転車走行中の携帯電話使用(ながら運転)や酒気帯び運転などに罰則を与える改正道交法が施行される。
ながら運転は自転車運転中に、スマートフォンなどを手に持って通話したり画面を注視したりする行為が罰則の対象となる。有罪になると、6カ月以下の懲役または10万円以下の罰金となる。実際に危険を生じさせた場合は1年以下の懲役または30万円以下の罰金。
酒気帯び運転は、既に処罰対象だった酩酊(めいてい)状態の「酒酔い運転」に加えて、罰則が科されるようになる。違反者と自転車提供者は3年以下の懲役または50万円以下の罰金。酒類提供者、同乗者にも罰則がある。
この二つの違反は、3年位内に2回以上繰り返した場合に都道府県公安委員会が自転車運転者講習の受講命令を出す対象に加わる。また、16歳以上の自転車交通違反者に反則金納付を通告できる交通違反切符(青切符)の導入も決定し、2026年春をめどに施行される予定。
石巻署の佐藤康治交通課長は「自転車は免許なしで気軽に運転できるが、転んだり人や車にぶつかったりすれば命を落とすこともある。自分を守るためにもルールを守り、ヘルメットを着用してほしい」と話す。
【自転車運転者講習の対象となる危険行為】
・信号無視
・通行禁止違反
・遮断踏切立ち入り
・妨害運転
・指定場所一時不停止
など15行為
※11月から追加
・ながら運転
・酒気帯び運転
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