子育てと介護の縁側・今日も泣き笑い(13) 嫁ぎ先、遠きにありて思うこと 子連れ帰省、ワンオペ育児
【石巻市・柴田礼華】
かつて金沢出身の詩人、室生犀星は「ふるさとは遠きにありて思ふもの、そして悲しくうたふもの」と歌いましたが、このたび、私は古里山口に10日間ほど子連れ帰省し、遠く離れた嫁ぎ先の石巻や家族に思いをはせました。
私が生まれ育った山口県長門市は、童謡詩人金子みすゞやシベリアシリーズで知られる画家香月泰男の古里でもあります。また最近大人気のスーパー家政婦タサン志麻さんの地元でもあります(なんと志麻さんは高校の1年上の先輩!)。
■帰省し疲労蓄積
偉大な先輩方の自慢はさておき、今回しばらく石巻の柴田家を離れてみて、また新たな気付きがいろいろ見えてきました。
まず、大変だったこと。実家の家族も仕事で多忙ゆえ、いわゆるワンオペ育児(1人で育児全般を担うこと)の時間が長く、思うように物事が進みません。
特にイタズラ盛りの下の娘に翻弄(ほんろう)されていました。飲み物、食べ物をわざとこぼし、あらゆる引き出しやドアを開けて全ての物を出したがります。毎日のように私の母が仕事の合間にお風呂や食事のサポートをしてくれたのですが、娘たちが2人とも眠くなったり機嫌が悪かったりすると、母の手には負えなくなり、母も私もジワジワと疲労が蓄積していきました。
一方、楽だったのは、食事の献立決めです。まずは娘たちが食べやすいもの、好きそうなもので献立を考えてから、大人の分を多めに作るようにしていました。どうしても柴田家では朝はパン食、夜はご飯とおかずと汁物という暗黙のルールがあるのですが、「朝はおにぎりにしちゃおう」「夕飯は昼のそうめんの残りをお肉や野菜と炒めちゃおう」など、いつものルールに縛られずに献立を組めたのは気楽でした。
相対的に振り返ってみて感じたのは「ワンオペ育児は自分で意思決定ができる自由度があるけれど、どんなに頑張って、どんなに段取りを組んでも1人は1人である」ということでした。
■家事は綱渡りで
下の子が飲みかけのスープのおわんをひっくり返した瞬間に上の子がくしゃみをして「おっかー、鼻水出たー、ティッシュー」と叫ばれても、あとわずか50センチのティッシュに手が届かない絶望や、朝食の支度と洗濯、掃除を同時進行しながら、テレビの子ども向け番組のキャストに「あと10分子守り頑張って」と祈りながら家事をこなす綱渡り感など、普段大人数で暮らしている時には感じない私のピリピリとした緊張が恐らく子どもたちにも伝わっていたのではないかと思います。
子どもたちが泣いていると義母が「抱っこしてあげようか」と声をかけてくれること。私が家事と子守でてんやわんやしているときに義父が「奥でテレビ見よう」と子どもたちに声がけしてくれること。そんな日常が私や子どもたちに安心を与えてくれているんだなぁと石巻を離れて感じることができました。
石巻に戻ったら、たまには晩ご飯を麺類にしてみるチャレンジを試みようと思います。
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