石破内閣発足、石巻地方の声 地方活性化重視を 人口減や防災対策、期待
自民党の石破茂総裁(67)が1日、衆参両院本会議の首相指名選挙で第102代首相に選ばれた。東日本大震災で被災し、人口減少や地域経済停滞などの課題が山積する石巻地方の各界からは、地方活性化や防災体制強化を打ち出す新首相への期待の声が上がった。一方で、衆院選を27日投開票で実施すると表明したことなどは疑問視する意見もあった。
石巻商工会議所の青木八州会頭は、地方重視の姿勢を好意的に受け止め「地方活性化や人口減少対策で新機軸を打ち出すことを期待する」と述べた。
人口減は経済規模の縮小につながると指摘し「地方の産業を活性化させ、高所得化を進めることが必要。首都機能の地方移転も真剣に考えてほしい」と主張した。震災の被災企業が直面する二重ローン問題の早期解決も求めた。
主要産業の水産業は海水温の上昇などで深刻な影響を受ける。石巻市幸町の水産加工会社「ヤマナカ」の千葉賢也社長(34)は「今は海に原料がない状態で、どうすることもできない」と嘆き、「民間と自治体だけで現状を変えるのは難しい。国がリーダーシップを発揮して、1次産業を立て直す支援策を早期に実施してほしい」と訴えた。
農村は高齢化が進み、担い手不足が深刻だ。農相などを歴任し、農業政策にも明るい石破首相に期待する東松島市の農業法人代表の男性(68)は「従来のもうからない農業が現状を招いた。政府が推進するスマート農業の推進以前に、米作りを続けられる適正価格の維持と、農業者の所得補償が不可欠だ」と強調した。
石破首相が総裁選で掲げた防災省の新設に注視するのは、石巻市の子ども支援団体「子どもにやさしいまちづくり」の吉川恭平代表理事(36)。「災害時に見落とされがちな子どもの権利や支援を重視してほしい」と望んだ。衆院選については「子どもや若者が政策の議論に関心を持ち、参加できる場づくりを意識してほしい」と注文を付けた。
石破首相は9日に衆院を解散し、衆院選を27日投開票で実施する意向。震災の被災者からは地震と記録的豪雨の被害を受けた能登半島の現状を考え、早期実施に反対する意見があった。
震災を経験した同市大原浜の男性(70)は「震災があった13年前を思うと、能登は選挙をしている場合ではない。被災地復旧のための対策を優先してほしい」と語った。
新内閣では、石巻市出身の阿部俊子元外務副大臣(65)が文部科学相に就いた。斎藤正美市長は取材に「非常に心強く思っている。さらなる活躍を期待したい」と語った。
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