(1016)六道のどの道踏むや虫の闇/加藤又三郎(1977年~)
秋の夜、草葉の陰から虫の声が聞こえます。近づいて目を凝らしても姿は見えません。染み入るような響きに、闇がいっそう濃くなった気がします。六道とは、仏教において輪廻(りんね)転生する六つの世界のことです…
関連リンク
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- ・(1014)雪月花じわじわ被曝(ひばく)してゐたる/原雅子(1947年~)
- ・(1013)立ち食ひの重心変へて秋の雨/北大路翼(1978年~)
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- ・(1011)命なきものの騒げり野分なか/高澤晶子(1951年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。