県実習船「宮城丸」 ハワイ沖へ高校生ら出航 インドネシアへの変更、来秋にも
県内の高校生を乗せた海洋総合実習船「宮城丸」(699トン)が2日、実習先のハワイ沖に向けて気仙沼港を出港した。宮城丸による実習は長年、ハワイ沖で行われてきたが、県は来秋にも実習先をインドネシアのバリ島沖に変更する方向で検討している。県は昨年7月、人材受け入れの促進に向けた覚書をインドネシアと締結。同国の人材が石巻市の水産業の重要な担い手になっていることもあり、交流を深めることで人手不足の解消にもつなげたい狙い。
宮城丸の実習は宮城水産高と気仙沼向洋高の生徒が約1カ月半、航海技術やマグロはえ縄漁を学ぶ。4~6月、10~11月、1~3月の年3回。これまでは県人会があることなどからハワイ・ホノルルに寄港していた。
県によると、国内の高校生の海洋実習でのインドネシア寄港は初めてになるとみられる。県と同国は昨年7月、人手不足を背景に覚書を締結。首都ジャカルタで県内の産業や文化を現地学生に紹介するフェアなども開いた。宮城丸の寄港によって交流の機会をさらにつくり、水産業に関心を持つ若者を増やしたい考え。
石巻市では既に主要産業を支える貴重な存在になっている。8月末現在、市内に暮らすインドネシア人は464人で、前年からほぼ倍増。ベトナム(359人)やミャンマー(214人)を上回り、最も多い。ほどんどが技能実習生や専門性の高い「特定技能」の資格を持つ人で、漁業や水産加工を中心に従事する。
市地域振興課の担当者は「地域の力になり、石巻になじもうとイベントにもよく顔を出してくれる。不安なく過ごせるようにサポート体制を充実させたい」と話す。
県教委高校教育課は、寄港先をバリ島に変更した場合、現地学生との交流会なども検討しているという。担当者は「水産業の労働力不足解消につなげるだけでなく、日本人学生にとっても貴重な国際交流の経験になるのでは」と期待する。
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