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いしのまき食探見 > マコモダケ 茎を食べるイネ科植物

茎の根元が膨らみ始めるのを待ちわびる及川さん
輪切りにしたマコモダケを揚げ、あんかけを合わせた「マコモのカニ風味あんかけ」
千切りにしたマコモダケに鶏胸肉とキュウリなどをごまドレッシングであえた「マコモサラダ」

 海と山とで育まれる豊かな石巻地方の食材。伝わる文化と技を生かした郷土の「食」を紹介する。

マコモダケ

 知る人ぞ知る秋の味覚、マコモダケ。イネ科の多年草で膨らんだ茎の根元を食べる。

 食感はタケノコよりも柔らかく、風味はほんのり甘い。生でも食べられる。油との相性が良く、天ぷらやサラダがお勧めだ。

 東松島市ではかつて、マコモダケを使った料理を発信するなど先導的な取り組みがあった。同市根古の及川八千代さん(72)はその一人。今も0.3アールの畑で60株を栽培し、自宅で消費しながら出荷している。

 2006年、いしのまき農協女性部鳴瀬地区部会は栽培を休止した田畑の活用を目指し、農協職員との研修を経て3軒の農家で栽培を始めた。同年には「全国マコモサミットin東松島2006」と題したマコモダケの普及方法を考えるイベントを開催した。

 女性部の会員交代に伴う方針変更や生産者の高齢化により、徐々に生産量が減少し、生産者は及川さんだけになったという。

 及川さんは例年、9月末から収穫を始め、収穫量は9キロほど。昨年から残暑が続き、茎の可食部が膨らむのは今月半ばになりそう。

 月末ごろから石巻市恵み野六丁目の園芸店「グリーンサム」と東松島市牛網の「菜っちゃん市場」で、1袋(300グラム)300円前後で販売する。

 及川さんは「マコモダケの盛り上がりがなくなってさみしいが、出荷を待ちわびる消費者もいる。栽培できるうちは続けて、味を楽しみ続けたい」と話した。
(渋谷和香)

<メモ>
 5月中旬に株を植え、2カ月ほどで葉は2メートルに成長する。茎の根元が「黒穂菌(くろほきん)」という菌類によって肥大化し、皮をむいて白い部分を食べる。食物繊維やカリウムが豊富で、中国では高級食材として扱われている。カニかまぼこなどを使ったあんかけなど和風や中華風の味付けが特に合うという。

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