女川2号機 原子炉起動、今月下旬にも 村井知事ら視察 東北電説明
東北電力の樋口康二郎社長は5日、女川原発2号機(女川町、石巻市)の再稼働(発電再開)時期について「11月上旬ごろ」との見通しを示した。これまで11月ごろとしていた。今月下旬にも原子炉を起動させ、核分裂反応が安定して継続する「臨界」を目指すとしている。
5日、同原発を視察した村井嘉浩知事、斎藤正美石巻市長、須田善明女川町長に説明した。樋口社長が「13年ぶりの稼働に向けて一つ一つプロセスを確認している」と述べたのに対し、3首長は改めて安全最優先の作業を要望した。
視察は、2号機の安全対策工事の完了状況を確認する目的。原子炉建屋では、耐震補強を行った壁面や屋根、原子炉格納容器の破損を防ぐフィルター付き格納容器ベント(排気)装置などを確認。オペレーションフロアも視察し、機器が異常なく作動するかを確認するなどした。
女川原発の阿部正信所長は、基準津波を上回る海抜約29メートル、総延長約800メートルの防潮堤について説明。大規模な原子力災害が発生した場合に現地対策本部となる緊急時対策建屋なども案内した。工事は5月に完了した。3首長が同原発を視察するのは、2020年8月以来。
視察後、樋口社長と3首長が意見交換。樋口社長は、2号機で先月起きた非常用設備の計画外作動について「地域の方々に心配をかけてしまい申し訳ない」と陳謝。「原因や再発防止策を確実に実行する」と強調した。各工程は計画通りに進んでいるとの認識も示し「機械を動かすのは人。人材育成もしっかりやっていく」と述べた。
村井知事は視察後、報道陣の取材に応じ、「二重、三重の対策が取られている。現在進めている準備も厳格かつ慎重に進めてほしい」と東北電に注文。須田町長は「再稼働に向けてスケジュールを意識し過ぎず、現場にいる人を第一に作業を進めてもらいたい」、斎藤市長も「小さなことでも包み隠さず情報公開を行い、住民の信頼を失わないようにしてほしい」とそれぞれ述べた。
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