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いしのまき食探見 > ササニシキ すしに好適、あっさり味

炊きたてのササニシキに、合わせ酢を手早く混ぜ、酢飯を作る板前=蛇の目寿司
厳しい残暑の中、黄金色に実った稲穂をたてファーム・和の社員がコンバインで刈り取った=9日、石巻市須江

 海と山とで育まれる豊かな石巻地方の食材。伝わる文化と技を生かした郷土の「食」を紹介する。

ササニシキ

 あっさりとした味と、冷めても変わらぬ風味。宮城県生まれのササニシキは今年、誕生から61年を迎えた。

 かつて「東の横綱」といわれ、西の横綱・コシヒカリと並んで全国を席巻したが、今や全国での作付面積は1%未満。病気に弱く倒伏しやすいため、1993年の大冷害を機に作付けが年々減少した。

 希少種となったが、気候が栽培に適している石巻地方では、農家が工夫を凝らし、農協単位で全国1位の生産量を誇る。

 石巻市須江の農事組合法人「たてファーム・和(なごみ)」は今年、主食用米の半数となる15・5ヘクタールに作付けした。水を張る前の田んぼに種もみをまく「乾田直播(ちょくは)」を取り入れる。省力化に加え、稲の丈を短く育てられるため倒伏しにくい。

 高橋弘総務部長(68)は「乾田直播にすればササニシキも比較的作りやすく、粒の張りも良い。今年は品質、収量とも上々」と語り、稲刈りに精を出す。

 もっちりとしたコシヒカリ系が全盛のいま、粘りが少なくおかずを引き立てる食味は、すし店をはじめとする全国の和食店などから根強い支持を受ける。

 石巻産ササニシキを使う同市中央1丁目の「蛇の目寿司」を訪ねた。にぎりを口に運ぶ。シャリがほろりとほどけ、ネタと溶け合い、程良い甘さが広がった。
(相沢美紀子)

<メモ>
 ササニシキは1963年、県農業試験場古川分場(現県古川農業試験場)が開発した。宮城県を中心に作付面積は急激に広がり、85年にコシヒカリに次ぐ全国2位となった。2023年のいしのまき農協管内のササニシキの作付面積は、主食用米の26%となる1648ヘクタールで、ひとめぼれが65%の4167ヘクタールを占める。

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