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神楽、闇夜に浮かぶ 石巻・北野神社、二子団地で奉祝祭 2団体出演

舞い手のアクロバティックな動きに観衆から歓声や拍手が上がった

 石巻市長面地区にある北野神社の奉祝祭が9月29日、東日本大震災後に多くの同地区住民が移り住んだ同市二子団地で開かれ、伝統の法印神楽などが披露された。荒々しい舞や流麗なしぐさが闇夜に浮かび、集まった多くの地元出身者や家族連れらが、ふるさとに思いをはせた。

 奉祝祭は昼、夜の部に分けて実施。二子絆会館の特設舞台で、釜谷長面尾崎法印神楽保存会と北上町女川法印神楽保存会が計約15演目を奉納した。夜の部では、災いを打ち払う「鬼門」、八岐大蛇退治が題材の「叢雲(むらくも)」などを舞った。

 川に橋を架けるための願掛けを表現する「橋引」には5人の舞い手が登場。即興の動きを交えながら観客も巻き込み、大きな笑いを引き起こした。

 我が子を抱く竜神の姫が登場する「産屋」では、舞い手に抱いてもらうと赤ん坊が丈夫に育つとされる。この日は住民の孫ら2人が出演し、会場は和やかな雰囲気に包まれた。

 奉祝祭は400年以上続く伝統行事。かつては長面地区の中心部で開かれていた。震災後、同地区が災害危険区域に指定され、元住民が多く暮らす同団地に会場を移して開かれている。

 同市釜谷地区出身の会社員相沢三男さん(66)=同市北村=は、神楽の名手として知られ、震災の津波で犠牲になった父佐々木庄市さんら家族を思いながら舞台を見つめた。「父の影響で子どものころから神楽があるのが当たり前だった。地域は(集団移転で)なくなってしまったが、この舞だけはどうか続けていってほしい」と話した。

 同神社の高橋範英宮司(74)は「毎年この行事を楽しみに多くの人が訪れてくれてありがたい。また修練を重ねて、来年も披露できるようにしたい」と語った。

舞い手に抱かれ、赤ん坊も出演した

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