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稼げる観光地へ 石巻市、教育旅行で訪日客誘致促進 自然体験や震災伝承、発信

訪日客向けの観光資源として注目される金華山

 石巻市は、持続可能な「稼げる観光地づくり」を目標に掲げ、海外を含めて誘客戦略を強化する。石巻の特性を生かした旅行商品の企画開発を進め、教育旅行や企業研修の誘致促進を図る。インバウンド(訪日客)では宮城県への宿泊者が多い台湾向けのPR活動に力を入れる。新型コロナウイルス禍を経た旅行需要の回復やインバウンド急増を踏まえ、攻勢に転じる。

 旅行商品は金華山や長距離自然歩道「みちのく潮風トレイル」、石ノ森萬画館、市震災遺構門脇小、自然体験メニューなどを絡めた形を想定する。市と昨年10月に包括連携協定を結んだ日本旅行(東京)が商品化に協力する。

 市観光政策課は「漁業体験や、学びという点で震災伝承・防災教育は修学旅行のテーマとなる。震災の教訓を知り、今後の災害に生かしてほしい」と話す。

 海外客は震災で支援を受けた台湾からの誘客を推進する。東北観光推進機構が12月上旬に台湾で実施する誘客キャンペーンに参加し、市が加盟する宮城県国際観光テーマ地区推進協議会が設けるブースで石巻の観光をPRする。

 宮城県観光連盟がまとめた2023年の外国人宿泊者数は全国で1億1434万人で、このうち宮城県への宿泊者は52万1000人だった。宮城県での消費購買額は台湾、米国、中国、香港が多いという。

 市観光政策課は、裾野の広い観光産業が収益力を高め、地域への経済効果拡大を図ることを目指し、国内外の誘客を進める。観光ポイントや文化、多彩な食材など石巻の魅力を発信していく。

 市産業振興計画(2021~30年度)では、多様な地域資源を生かした誘客を打ち出す。みちのく潮風トレイルの活用や農林漁業体験、北上川などの自然を生かした体験型コンテンツの充実や「交流型観光」の推進に力点を置く。

 市観光政策課は「観光資源の磨き上げが重要で、市民にも認識を共有してほしい。環境や文化に配慮した持続可能な開発目標(SDGs)の視点も必要だ」と話す。

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