2024衆院選・宮城4区 新区割り、東西約80キロに 「新天地」浸透に奔走
衆院選(27日投開票)は小選挙区定数「10増10減」に伴う新区割りで初めて実施され、宮城4区の選挙区は石巻地方から山形県境近くまで含まれる。閣僚経験のある前議員2人は公示された15日、再編で自身にとって新たに選挙区となった地域を中心に回った。「厳しい戦い」と危機感を強めるベテランに新人2人が挑み、4陣営が票固めに奔走している。
◇衆院選宮城4区候補者
伊藤信太郎71 前環境相 自前(7)(公推)
大林 正英60 元釜石市議 れ新
佐藤 雄一45 元石巻市議 維新
安住 淳62 前党国対委員長 立前(9)
宮城4区は旧4、5区の12市町村で構成し、有権者は約38万人。旧5区の石巻市、東松島市、女川町、旧4区の塩釜市、多賀城市、富谷市などが入り、太平洋沿いから山形県境近くまでの東西約80キロに及ぶ。
旧4区が地盤の自民党前議員の伊藤信太郎氏は15日、多賀城市で遊説をスタートさせるとすぐに東松島市入り。市役所で演説し、石巻市でも支持を訴えた。再編では父で元衆院議長の故宗一郎氏からの地盤だった加美町などが外れた。陣営は有権者約15万人と全体の4割を占める石巻地方を注視する。
旧5区で街頭演説などを重ねてきた伊藤氏は「私にとって新天地。チャレンジ精神で臨む」と浸透を図る。東日本大震災からの復興についてなりわいや産業発展の重要性を説き「政権与党として石巻に必要な予算を獲得し、しっかりと政策を進める」と力を込めた。
選挙区全体では旧4区だった地域の人口が約25万人で、旧5区の約19万人を上回る。
「新4区では石巻が選挙区の端になる」。旧5区で当選を重ねた立憲民主党前議員の安住淳氏は警戒感を抱く。「石巻は79年間、国会議員を送り続けてきた。県下第2の都市として議席を死守しなければならない」と強調する。
区割り変更決定後は旧4区の地域で座談会を約150回開催。15日は塩釜市で第一声を上げ、石巻市で午後5時にマイクを握るまで旧4区を巡った。2009年以降の選挙は党幹部として全国遊説に走り、期間中に選挙区にいたのは長くて3日だった。「自分の選挙カーに乗るのはしばらくぶり」と話し、くまなく支持を呼びかける。
日本維新の会新人の佐藤雄一氏は、市議経験のある同市以外での浸透を課題とし、富谷市や利府町で票の掘り起こしを図る。若者世代への徹底投資を掲げ「顔を見たことがないという人も多いと思う。選挙区をまんべんなく回り、同年代の有権者と接触したい」と話す。
れいわ新選組新人の大林正英氏は「地盤はないが区割り変更で新しいことが起きるのではないか」と話し、これまで選挙に行かなかった層へアプローチを試みる。「くまなく回り、顔を売るしかない」と言い、公示後3日間は事務所を置く石巻市や多賀城市、利府町などで活動した。
◇
【遊説日程(18日)】
〔伊藤陣営〕
▽選挙カー=女川町、JR石巻駅前、大郷町、大和町
▽個人演説会=利府町利府の選挙事務所(午後6時)
〔大林陣営〕
▽選挙カー=石巻市
▽個人演説会=石巻市南中里4丁目の選挙事務所(午後2時)
〔佐藤陣営〕
▽選挙カー=石巻市、女川町、石巻市、東松島市、松島町、東松島市、石巻市
〔安住陣営〕
▽選挙カー=松島町、大郷町(午前11時・道の駅おおさとで街頭演説)、利府町、多賀城市、塩釜市
▽個人演説会=午後6時・東松島市矢本東市民センター
私の一票
■会社員・阿部哲也さん(42)=女川町石浜
女川町の人口減少、特に若い世代の流出を防ぐには住み続けたいと思うまちづくりが必要だ。ライフステージが変わっても安心して暮らせる支援策や若者が活躍できる場所を増やしてほしい。
デジタル化を進めて地方の活力を引き出す「デジタル田園都市構想」などにも関心があるので、住民と共に歩もうとする候補者を選びたい。
■会社員・佐藤ゆりかさん(28)=石巻市のぞみ野
政治家は「若い世代が(将来を担って)」と言うが、低賃金に高い税金では生活が苦しい。子育て支援や職業格差、待遇の改善を求めたい。東日本大震災に比べ、能登の復興は遅い。外交も大事だが、国内で発生する災害への対応や対策にも注力してほしい。
投票しても、若者の声が反映されていないと感じる。口先だけでなく、公約実現に向けた活動や実績を重視したい。
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