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発電×農業 自然電力(福岡)、東松島で実証研究 積雪地域に垂直式太陽光パネル

太陽光パネルを垂直に設置した実証研究施設
垂直式太陽光パネルに挟まれた畑で収穫されたサツマイモ

 再生可能エネルギー発電施設の開発や運営を手がける自然電力(福岡市)が、東松島市の農地で作物を栽培しながら太陽光パネルで発電する営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング、SS)の実証研究に取り組んでいる。県内では珍しいという垂直式の太陽光パネルを用いた発電システムが農作物に与える影響を検証し、同方式の課題や採算性などを探る。

 研究が始まったのは2023年4月。同市赤井鷲塚の太陽光発電システム販売・施工会社の敷地に、高さ3メートル、長さ12メートルの太陽光パネル群を4列、計48枚を設置。列の間に6~10メートルの間隔を設け、そこで飼料用米やサツマイモなどを栽培している。

 発電出力は約10キロワット。発電した電力は、全量を太陽光発電システム会社に供給している。東松島とつながりがある社員がいたため、研究施設の立地を決めた。同社によると、垂直式のパネルを用いたSSは県内で初めてという。

 同社によると、一般的なSSは藤棚のように高い架台の上に太陽光パネルを設置し、その下で作物を作る方式が主流という。一方、垂直式は架台の支柱がなく、大型農業機械が使える利点があり、設置に必要な面積も少なくて済む。積雪の影響を受けにくく寒冷地に向いている。

 ただ、面積当たりのパネルの設置枚数が藤棚式よりも少なくなるため、発電コストで劣るケースもあるという。同社はSSを導入する農家や農業法人などにそれぞれの営農環境に適した方式を提案するため、東松島では、垂直式パネルが作物の収量や品質に与える影響などのデータを収集。コスト面の精査も進める。

 自然電力の担当者は取材に「東松島での実証研究で垂直式の実用性と経済性が確認できれば、特に積雪地域におけるSSの最適解の一つになる。普及を進めることで、売電による農家収入向上や地域の耕作放棄地解消につなげていきたい」と意欲を語った。

持続可能な新たな営農モデル Re+Farmingプロジェクト - 自然電力グループ

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