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第2次石破内閣発足 石巻地方、政策の実行求める声

安住 淳氏

 第215特別国会が11日召集され、石破茂首相(67)=自民党総裁=が衆院本会議の首相指名選挙で立憲民主党の野田佳彦代表(67)との決選投票の末、第103代首相に選出された。

<安住氏、衆院予算委員長に>

 11日の衆院本会議で、立憲民主党・安住淳議員(宮城4区)の予算委員長就任が内定した。予算審議を差配する重要ポストで、野党が獲得するのは30年ぶり。安住氏は10月の衆院選で10選を果たした。

 予算委員会は国の予算案を審議し、国政の重要課題を話し合う。首相が出席する論戦の機会にもなる。委員長には委員会の開会日時や採決の決定、審議の進行などの権限がある。

 衆院選で与党の自民、公明両党の獲得議席が過半数を割り込んだため、立民が常任委員長人事で譲歩するよう自民に求めた。予算委を含め17ある常任委員長ポストのうち、七つが野党に配分された。

石巻地方の声

 衆院選での過半数割れで「少数与党内閣」となり、政治の不安定化も懸念される。人口減少や物価高騰などの課題に直面する石巻地方の首長や住民からは、政策の着実な実行を与野党に求める声が相次いだ。

■石巻市長、与野党の歩み寄り必要

 石巻市の斎藤正美市長は「自民1強ではなくなった。与野党問わず丁寧に議論を重ね、国民目線で将来を見据えた政策展開をしてほしい。お互いが歩み寄る努力が必要だ」と求めた。疲弊する地方の現状を憂慮し「人口減少や災害対策など、地方に目を向けた政策を進めてほしい」と語った。

■東松島市長、来年度予算成立着実に

 東松島市の渥美巌市長は衆院選の論戦に「裏金問題一辺倒で少子化問題などの政策議論がなかった」と苦言。「政治が国民のものと言うなら、予算案を政局にして地方自治体に迷惑をかけないでほしい。来年度当初予算の着実な成立を求める」と与野党にくぎを刺した。

■女川町長、しっかり議論し答えを

 女川町の須田善明町長も「法律も予算も、決まるものが決まらなければ地方は動けない部分がある。足の引っ張り合いやパワーゲームはせず、しっかりと議論をして答えを導き出してほしい」と注文した。

   ◇

 住民からは与党過半数割れの結果を踏まえた政権運営を望む声が目立った。

 石巻市蛇田の主婦(82)は「与党は野党の言い分にもきちんと耳を傾けるべきだ」と指摘。「一番の関心事は年金問題。物価高騰の中、さらに減らされれば生活できない」と話した。

 同市あゆみ野4丁目のアルバイト男性(65)は「過半数割れに追い込まれたのに組閣をするというのは、国民の『ノー』の声を受け止めていない。議席を伸ばした党を引き入れるのが民主主義だ」と批判。東日本大震災で被災した経験を基に、「防災省」の創設に期待し「避難所の劣悪な環境などは変わっていない。災害に即応する体制を築いてほしい」と要望した。

 「政策決定に時間はかかっても、順序立ててしっかり実行してほしい」と願うのは同市福地の30代会社員女性。期待するのは物価高騰対策で「毎日の食費が苦しい。5年前、10年前の倍の値段になったものもある。同じように給料も上がる政策を望む」と話した。

 「政治に関心がない」と衆院選の投票を棄権したという女川町の主婦(73)は「物価の上昇がこれだけ続いているのに、政治家は(自民党の裏金問題など)自分のことばかり。新内閣にも何も期待していない」と切り捨てた。

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