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いしのまき食探見 >ナマコ 食感コリコリ、正月の味

採れたての黒ナマコを使った「ナマコ酢」。薄く切っても歯応えがあり、のどごしはツルっとしている
石巻魚市場に水揚げされたナマコ。体長約15~20センチと大ぶりだ

 海と山とで育まれる豊かな石巻地方の食材。伝わる文化と技を生かした郷土の「食」を紹介する。

ナマコ

 「黒いダイヤ」とも呼ばれるナマコ。11月1日に漁が解禁され、石巻市の石巻魚市場には連日、黒ナマコや赤ナマコが水揚げされている。

 ナマコ漁の手法は多岐にわたり、海底にいるナマコを潜水して採ったり、箱眼鏡と呼ばれる道具で海底をのぞいて見つけたりする。

 漁は来年3月まで。同市場には約100人の漁師が新鮮なナマコを持ち込む。最盛期の水揚げは1日約3トン。今シーズンは約100トンを見込む。

 同市場の佐々木茂樹社長は「石巻では昔から生のナマコが好まれ、正月料理にも並ぶ冬の味覚。消化が良く、正月に餅を食べた後にいい。さばいてポン酢などで味わってほしい」と話す。

 同市中里5丁目の海鮮居酒屋「旬の味 吉長(きっちょう)」では、11月下旬から冬季限定でナマコ酢の提供を始めた。特製の酢じょうゆにあえ、ユズおろしを添えたナマコ酢はピリ辛で癖がなく、コリコリとした食感が味わえる。長期保存には番茶に湯通しする「茶ぐりナマコ」がお薦め。水気を切り、昆布酢やポン酢に漬ける。生ナマコより柔らかくなり、食べやすくなるという。

 昨年は東京電力福島第1原発事故に伴う処理水の海洋放出を巡り、中国などが日本の水産物の禁輸措置を取ったことで、海外に流れていたものが国内流通に回り、1キロ約1500円と単価が落ち込んだ。今季は東南アジアへの販路拡大などの影響もあり、1キロ2000円程度と回復の兆しが見える。
(相沢春花)

<メモ> 
 中国では古くから滋養強壮効果が高いとされ、乾燥ナマコが中華料理や漢方薬などに重宝されてきた。日本産ナマコは質が良く、中国で高級食材として高値で取引される。石巻地方でもかつては中国人バイヤーが漁船から直接買い付ける「浜買い」を行うほどだった。

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