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子育てと介護の縁側・今日も泣き笑い(22) ゆったり流れる 祖父母が育む心の安寧

今はほとんど目が見えないレツさんが4年前、1歳だったあま音に絵本を読み聞かせているところ。義理の姉は、過去にレツさんが読み聞かせするところを見たことがなく、この様子に驚いたそうです
孫たちにまとわりつかれるせんじい。耳たぶを触られてくすぐったいけれどうれしそうです

【石巻市・柴田礼華】

 柴田家の老夫婦(義理の両親)は5歳と1歳半の孫娘たちを大層かわいがっています。まさに文字通り「目の中に入れても痛くない」境地ですが、実際、1歳児が目に指を突っ込んできたら痛いし、5歳児に乗っかられたら重くてよろけるしで、80代後半の2人が孫たちと遊ぶのはそれなりに命がけです。

■忙しかった両親

 義理の父、通称せんじいは元体育の教員で、義理の母レツさんは元看護師。2人は定年退職するまでフルタイムで公務員を勤め上げました。

 義理の姉の話では「両親は忙し過ぎて、私たち子どもとゆっくりのんびり遊ぶ暇なんかなかったんじゃないかな」とのことでした。3きょうだいの末っ子の夫は、小学生の頃は父親のせんじいと釣りに行ったり、2人で外食に出かけたりしたこともあったそうです。

 剣道部の顧問で基本的には土日も試合や遠征で不在の父。看護師で土日も関係なく日勤、夜勤に入っていた母。必然的に夫と2人の姉たちは、同居していた父方の祖父母と過ごす時間が多かったようです。

 特に夫はおじいさんっ子で、中学生になって自分の部屋がもらえるまで毎日おじいさんと一緒に寝ていたそう。小さい頃におじいさん、おばあさんと何をして遊んでいたのか尋ねると、炭酸飲料を飲みながらトランプをしていたそうです。

 思い返せば、私も同居していた祖父母に大層かわいがってもらったものでした。4人きょうだいの第1子で長女の私は、家業やら地域活動やらで多忙な父と、子育てや介護の合間に家業を手伝う母が不在のときは、祖父母と一緒に過ごしていました。

 禁煙の口寂しさを紛らわすために、祖父が常に持ち歩いていたキャラメルを際限なく与えられ、虫歯だらけで、コロコロに肥えていた幼少期。祖母とはテレビを見ながらフキの皮むきをしたり、奈良漬を漬ける手伝いをしたり、家事の手伝いをしながらいろんなおしゃべりをしたものでした。

■いるだけで安心

 父や母も愛情深く育ててくれましたが、なにぶん駆け足ダッシュの日々。その点、祖父母とは「これ食べんかね」「今日は何があったかね」と、おやつを食べながらテレビを見て、おしゃべりをするのんびりとした時間が流れていました。

 気付けば娘たちも、せんじい、レツさんのベッドに乗っかり、テレビを見たり、おやつを食べながら、私たち親とはまた違う時間の過ごし方をしています。そこにいるだけで安心できる存在がいることが、娘たちのセーフティゾーンになっているように思います。

 今どき、はやらない3世代同居をあえて続けているのは、われわれ夫婦が幼い頃、祖父母に温かく育まれた記憶によるところが大きいのでしょうね。

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