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畳、仏輸出へ 天然素材、伝統製法PR 石巻・須江「和楽」

畳の伝統製法を撮影するオスモン社長(右)=11月12日(和楽提供)
自社の「和楽畳」を手に、畳の魅力発信に意欲を示す佐々木会長

 石巻市須江の畳製造業「和楽」がフランスへの畳輸出を模索している。独立行政法人「中小企業基盤整備機構」の仲介で現地の店舗が今秋ごろから、同社の畳のサンプルを展示。経営者がこのほど来日して工場を訪れ、伝統製法などを確認した。佐々木正悦会長(72)は「日本文化への関心が高いフランスで、天然素材で作られた畳の魅力に触れてもらい、輸出の足掛かりにしたい」と期待する。

 畳を展示しているのは、仏東部アルザス地方のコルマール市にあるインテリアなどの日本グッズを取り扱う「今昔(こんじゃく)」。フローリングに敷く半畳サイズ(縦横85センチ)の置き畳「和楽畳(わらくたたみ)」の実物と内部構造を示すサンプルを展示している。

 和楽畳は畳の芯材となる「畳床」に昔ながらの稲わらを使い、表には、い草を使用。独自技術で厚さを3センチまで薄くし、重さも7.5キロと通常の同サイズの半分程度まで軽くした。日本の住宅環境の変化に応じて開発した商品だが、輸出にも向くという。

 機構の仲介に加え、和楽が仏語のホームページを設けていたことも交流を後押しした。11月12日には今昔のファビアン・オスモン社長が同社工場を視察し、製造工程を動画に納め、感触などを確かめた。動画は同店のオンラインストアで紹介するという。

 佐々木会長によると近年、フランスでは日本風の室内様式が「タタミゼ」という造語で表現され、座禅、茶道、和装などへの関心も高まっている。柔道人口の多さから、畳へのなじみは強いという。

 国内では、化学素材の薄い置き畳が普及し、稲わらを使った畳の需要は減少の一途をたどっている。佐々木会長は「1000年もの間受け継がれてきた本物の畳の弾力性や断熱性といった心地よさを感じてもらい、国内外に発信する契機にしたい」と語る。

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