閉じる

子育てと介護の縁側・今日も泣き笑い(21) 家族の風景 何げない日常、絵や文に

案内はがきにも使った、個展を象徴する作品「食卓 白いカップ」。毎日の柴田家の食卓風景が描かれています
画廊前で頂き物のおまんじゅうを食べるあま音(右)としお音。花より団子シスターズです

【石巻市・柴田礼華】

 12日から17日まで、夫が仙台の画廊で絵の個展を開催しました。個展のタイトルは「家族2024」。3世代6人で暮らす日常をテーマに、油絵、デッサン、陶器など約50点の作品を展示しておりました。

 個展の準備期間、夫が娘たちから胃腸炎をもらい、下痢、発熱でグロッギーに。さらに個展が始まって2日目、今度はどうやら私も感染したようで、吐き気、発熱で1日起き上がれなくなってしまいました。友人や義理の姉に助けてもらって、なんとか乗り越えました。

 そんなこんなでドタバタと始まった個展ですが、土日は5歳の長女あま音と1歳半の次女しお音も連れて在廊し、たくさんの方とお会いすることができました。本コラムの読者の方たちにもお会いできてうれしかったです。

■流失した思い出

 最近、特別な記念日の写真撮影などをあまりしていない柴田家。東日本大震災前、石巻市門脇町に住んでいた時は義父せんじい(先生おじいさんの略)が毎年お正月に自宅の庭で家族写真を撮り、プリントしたパネルを自宅廊下の壁に並べて張っていたものでした。そのパネルを見れば、メンバーが増えたり減ったりする家族の変遷が一目瞭然。髪形や服装からも時代がうかがえました。義姉の肩パッド入りスーツや赤い口紅にバブルを感じたものです。

 震災で、それらの写真パネルもアルバムも全て流されてしまいました。認知症になる前の義母レツさんが「物が流されてしまったのは諦めがつくけど、写真が流されてしまったのは残念だわ」とつぶやいていたのを思い出します。

■夫婦で記録残す

 最近夫が描いているのは、柴田家の日常の風景。あま音がせんじいの足元で寝転がっていたり、赤ちゃんだったしお音を私が抱っこしていたり、朝食時にレツさんが牛乳を飲もうとしている様子だったり、あるがままの飾らない風景が描かれています。

 私も本コラムを書き始め、家族のハプニングや、子どもたちの成長、義理の両親の加齢による変化など、暮らしの営みを描くことで、貴重な家族の記録を現在進行形で残せていることに気が付きました。

 いつか娘たちが大人になった時、夫の絵や私の文章を読んでどんな感想を持つでしょうか。さらけ出し過ぎて思春期になったら怒られるかもしれないことは覚悟しておきます。

 これからもイベント優先ではなく、ありふれた日常を大切に紡いでいきたいと思う今日この頃です。

関連リンク

石巻かほく メディア猫の目

「石巻かほく」は三陸河北新報社が石巻地方で発行する日刊紙です。古くから私たちの暮らしに寄り添ってきた猫のように愛らしく、高すぎず低すぎない目線を大切にします。

三陸河北新報社の会社概要や広告などについては、こちらのサイトをご覧ください ≫

ライブカメラ