地域の記憶、絵はがき発売 震災遺構「門脇小」 卒業生の柴田さん、学校生活描く

石巻市の東日本大震災遺構「門脇小」などを運営する指定管理グループは、震災前の門脇小や地域の記憶をモチーフにした絵はがき「いま伝えたくて-シリーズ1-」を発売した。門脇小の卒業生で市内の画家柴田滋紀さん(49)が絵を担い、子どもたちの元気あふれる学校生活をよみがえらせた。
絵はがきは計5種で、柴田さんは3種を担当。震災前の門脇小で開かれていた運動会の玉入れの様子と、校舎をバックに咲き誇るひまわりを温かみのあるタッチで描き下ろした。震災後に描いたという中瀬の風景は、大胆な筆遣いで北上川や周辺の自然を表現した。
柴田さんは同市門脇地区出身で、門脇小を1987年に卒業した。震災では地区を襲った津波で自宅が全壊し、作品の大部分も流失。門脇小に避難し、逃れて来た住民らの誘導や救助に当たった。
「当時は助けられなかった命もあった。自分にとっての門脇小は当時のまま時間が止まっている」と柴田さん。子ども時代の自身をはじめ、多くの児童が元気に過ごした震災前の学校を思い「未来につながるイメージを込め、子どもの明るさを感じられるよう描いた」と話した。
指定管理グループが、見学者者自身に遺構を訪れた感想や思いを家族や知人に伝えてもらおうと企画した。残りの2種は鮮やかな紅葉で彩られた被災樹木のイチョウや、クローバーが咲く校庭を写した遺構の外観写真を用いた。
代表団体で市内の一般社団法人石巻震災伝承の会の大須武則代表理事は「突然津波にのまれて亡くなった人は、家族に思いを伝えることもできなかった。大切な人に感謝を伝えるきっかけにもしてほしい」と語った。
3日に発売された。1枚150円、5枚セットは700円。連絡先は指定管理グループ0225(98)8630。
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