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石巻市震災遺構「大川小」、壁の一部欠落 経年劣化進む 遺族「放置せず対策を」

壁面の一部が崩れ落ちた震災遺構「大川小」の校舎

 石巻市の東日本大震災遺構「大川小」で、校舎の壁面の一部が剥がれ落ちた。市が19日に確認した。市は校舎を被災当時のまま保存する「存置保存」を基本方針とするが、風雨などによる劣化が進んでいる。同小でわが子を失った遺族は「保存方法を抜本的に考え直してもらう必要がある」と指摘した。

 剥がれ落ちたのは、津波の影響で倒壊した渡り廊下につながる校舎南側の壁面。最大で縦1.6メートル、横3.5メートルのれんがが、下地のモルタルから剥がれて落下した。指定管理者の職員が19日朝、敷地内を見回った際に発見した。

 同小の3年生だった長女未捺さん=震災当時(9)=を亡くした只野英昭さん(53)は「当時のまま残すというなら、放置するのではなく維持するための対策を打ってほしい。このままでは次々と崩れるのが目に見えている」と訴えた。

 市によると、11月上旬には壁面のひび割れを確認し、対応を検討していた。市震災伝承推進室の担当者は「早急に新たな対応を検討する」と話した。

 同小は震災で津波に襲われ、児童・教職員計84人が犠牲になった。被災した校舎は解体か保存かで住民らの意見が割れた。2016年に亀山紘市長(当時)が存置保存の方針を示した。校舎は風雨の影響などによる雨漏りやコウモリのふん害があり、市は昨年度に対策を実施。コウモリの防除は本年度も行った。

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