2024ニュース回顧 取材ノートから >日本製紙石巻、二大大会出場 「つなぐ野球」観客魅了
<全選手、「真向勝負」体現>
「つなぐ野球」で観客を魅了した石巻市の日本製紙石巻硬式野球部。社会人野球の頂点を決める二大大会「都市対抗野球大会」と「日本選手権大会」に2017年以来2度目のダブル出場を果たした。全選手がチームのために役割を全うし戦う姿は、スローガン「真向(まっこう)勝負」を体現したようだった。
チームの都市対抗出場は4年ぶり6度目で、日本選手権は7年ぶり3度目。出場権を懸けた試合には毎回、宿敵七十七銀行(仙台市)が立ちはだかった。
6月に盛岡であった都市対抗第2代表決定戦、七十七銀行との戦いは大接戦に。九回裏、8-9と1点差まで詰め寄られた。カメラを握る手に汗がにじむ。八回途中から救援した中島涼貴の一球一球にシャッターを切る。2死一、二塁の場面「あと1球。ストライクが取れれば行ける」。
フルカウントのスコアボードに息をのむ。次の瞬間、中島が三振で締めた。マウンドに飛び出す日本製紙石巻の選手。レンズ越しに笑顔や涙、さまざまな選手の顔が見えた。
7月に東京ドームであった都市対抗本大会もやきもきさせられた。初戦は土壇場の九回、KMGホールディングス(福岡市)に逆転。八回から登板した秋田が走者を背負いながらも、リードを守り切り、13年大会ぶりの初戦突破を果たした。2回戦は10人が継投したが相手投手を崩せず、残念ながら8強入りを逃した。
11月に京セラドーム大阪であった日本選手権の初戦の相手は前回大会と同じ強豪トヨタ自動車(愛知)。一回に5点を先取されるも、五回に佐藤晃が本塁打を放ち反撃。しかし、追い上げ及ばす、2-8と初の初戦突破はかなわなかった。
懸命で泥臭いプレーは筆者を含め多くの人に感動をくれた。観客の一体感、熱のこもった応援。チームカラーの青いタオルやうちわでスタンドを染め上げる光景は忘れられない。リアルタイムで試合の状況を更新した石巻かほくのX(旧ツイッター)には多くの反応があった。試合中に選手と一緒に一喜一憂しながら送った声援、試合終了後の鳴りやまない拍手-。観客と選手は間違いなくつながった。
野球のルールも知らなかった筆者が試合に感動し、涙するまでのめり込めたのは、真摯(しんし)に野球と向き合う選手の姿があったからだ。これからも記者でありファンとして、選手一人一人が試合に懸ける思いを追いかけ続けたい。(相沢春花)
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