芝居で街に活気 「いしのまき演劇祭」振り返る 3年ぶり復活



11月2日から12月1日までの1カ月間、石巻市の街中を芝居で活気づけた「第6回いしのまき演劇祭」(実行委員会主催)。3年ぶりの復活、シアターキネマティカ(中央1丁目)での上演、地元飲食店とのコラボなど話題が尽きない演劇祭だった。
今年は地元をはじめ県内外から八つの劇団・演劇ユニットが参加、週末の土・日曜をメーンに上演した。
2日のオープニングイベントを飾ったのが、金沢市を拠点にする演劇団体「Potluck Theater(ポットラックシアター)で、石川県から初の参加だった。
24日に登場したのが東京の「劇団 球」。東日本大震災後、被災地支援として石ノ森萬画館(中瀬)で毎年、ミニライブを開いてきた。その縁があって演劇祭初参加となった。前日はワークショップを市内で実施、市民と交流しながら芝居をつくる楽しさを伝えた。
ポットラックシアター、劇団 球ともに演劇祭に新風を吹き込んだ。
■震災語り継ぐ役割
震災後、演劇は被災地の思いを語り継ぐ役割を担ってきた。演劇祭でもこれまで「咆哮 <私たちはもう泣かない>」(2019年、第4回)などが上演された。今年は仙台の「Whiteプロジェクト」が23日、震災語り部演劇を上演した。震災を伝承していくことは演劇祭の一つの役割であることを改めて感じた。
■キネマティカ拠点
6回目で初めて会場をシアターキネマティカの1カ所にしたのは演劇祭の転換点になるだろう。これまでは街中の施設や空き店舗などを活用した。娯楽の拠点キネマティカが2022年8月にオープンしたことが演劇人たちの心を動かした。「芝居の面白い街」を発信する拠点を手に入れた。
初の試みである飲食店とのタイアップが関心を集めた。市内の12店舗が協力、公演日のみだったが割引などのサービスを行った。演劇祭が街中に広がった。
新型コロナウイルス禍で中止になるなど2年のブランクを乗り越えての開催だった。実行委員の確保や広報体制、市民への浸透など課題も見つかった。
第1回から演劇祭に関わってきた石巻市出身で演劇ユニット・コマイぬ代表の芝原弘さん(42)=仙台市=は「キネマティカでの演劇祭に合わせて街中でも芝居やワークショップをやる。相乗効果が生まれることで街に芝居の空気があふれるのでは」と期待する。
今年、実行委員長を務めた武井友佑さん(24)=石巻市=は「演劇祭は演劇人だけのものではない。飲食店や市民をもっともっと巻き込んで名実共に石巻の演劇祭に育てたい」と前を向く。
(久野義文)
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