女川2号機 営業運転を再開 規制委、東北電に確認証

東北電力は26日、女川原発2号機(女川町、石巻市)の営業運転を始めた。2号機の最終的な検査に当たる「総合負荷性能検査」を終え、原子力規制委員会から使用前確認証の交付を受けた。
営業運転の再開は、東日本大震災前の2010年11月に定期検査で停止して以来14年ぶり。過酷事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)が震災被災地の原発で初めて、継続的な運転段階に入る。
検査は25日から行い、調整運転を続けてきた2号機の原子炉内の圧力や、タービンを回す蒸気の流入量、排気筒の放射線測定値などのデータが正常かどうかを確認した。
26日は規制委が東北電の検査内容に問題点がないかを最終確認した。終了した午後4時ごろ、原子力規制庁の上田洋首席原子力専門検査官が女川原発の阿部正信所長に使用前確認証を交付した。
確認証を受け取った阿部所長は「自治体関係者や地域住民、安全対策工事に従事してくれた作業員らがいたからこそ、今日を迎えられた。今後も設備を動かす人材育成などをしっかりして、信頼される事業所を目指す」と決意を語った。
2号機は10月29日に13年7カ月ぶりに再稼働した。11月24日に原子炉を計画的に停止させる「中間停止」に入り、復水器などに再稼働で生じた熱や蒸気の影響がないかを検査。今月5日再び原子炉を起動、7日に発電を再開させた。
2号機の営業運転再開により、東北電は火力発電の燃料費抑制や、年間約300万トンの二酸化炭素(CO2)排出抑制を見込む。
女川原発は震災の震源地に最も近い原発。地震発生時は1号機と3号機が運転中で、2号機は定期検査のため起動の準備中だった。強い揺れを感知し、全3基が自動停止した。
東北電は今後、3号機の再稼働を目指す。
<東北電社長、「再出発」の決意強調>
東北電力は、女川原発2号機の発電再開を単なる「再稼働」ではなく、「再出発」と位置付けている。「再出発」という言葉に、発電所をゼロから立ち上げた先人たちに学び、地域との絆を強め、東京電力福島第1原発の教訓を反映し、新たに生まれ変わるという決意を込める。
樋口康二郎社長は26日、確認書交付を受けて発表した談話で「再出発」の決意を改めて示した。その上で「営業運転再開後も、原発の『安全対策に終わりはない』という確固たる信念の下、さらなる安全性の向上に取り組む。安全・安定運転を継続しながら電力の安定供給やカーボンニュートラルへ貢献していく」と約束した。
原発の運営に地域住民の理解が重要であることも強調した。「引き続き、当社の取り組みを分かりやすく丁寧に伝え、地域の皆さまから信頼され、地域に貢献する発電所を目指す」と談話を締めくくった。

安全対策、新たな段階へ
女川2号機の営業運転再開によって、東北電力や周辺自治体の安全対策は新たな段階に入る。立地自治体の女川町、石巻市など原発から30キロ圏内の7市町は重大事故や複合災害に備えた広域避難計画を定めているが、より実効性を高めるための努力が求められる。東北電は設備面の対策や訓練など継続的に対応を強化する必要がある。
営業運転再開に伴う課題の一つが使用済み核燃料の増加だ。東北電は女川原発敷地内に使用済み燃料を一時保管する「乾式貯蔵施設」を設置する。2号機の貯蔵プールは、今後4年ほどで容量いっぱいになる見込み。空気で冷やす仕組みの貯蔵施設2棟を建設し、10年程度の「延命」を図る。
女川町と石巻市は、原発敷地内で保管される使用済み燃料を対象とした独自の課税制度の導入を検討している。女川町は2026年度の導入を目指す。
東松島市など女川原発5~30キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)5市町の首長は今月23日、女川原子力発電所UPZ関係自治体協議会を設立した。
全国のUPZ内の自治体との連携を視野に、国や県に核燃料税交付金の増額や地域振興への財政支援を求める。重大事故を想定した避難訓練などで市の負担が増していることが要望の背景にある。
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