野菜とスイーツ、物々交換 石巻グリーフサポート、障害者の自立支援
障害のある人たちの就労支援に取り組む一般社団法人石巻グリーフサポート(石巻市前谷地)が、規格外などの野菜をケーキといったスイーツ類と交換するサービスを行っている。得た野菜を、就労支援の一環である総菜や弁当の製造に活用しており、担当者は「スタッフの自立支援と食品ロス削減につながる」と手応えを語る。
同サービスでは、法人の総菜製造施設「山たんキッチン」(同)に野菜を持ち込んでスタンプをためると、障害者就労継続支援B型事業所のベーカリーカフェ「パーラー山と田んぼ」(同)のケーキや洋菓子、パンなどが得られる。
具体的には、約30円分相当の野菜を提供するごとにスタンプがもらえ、スタンプ30個でカフェの商品1000円分と交換できる。店内飲食の会計に充てることもできる。収穫から時間がたった野菜など、交換できない場合もある。
サービスを始めたのは、山たんキッチンがオープンした2021年8月。現在、市内外の契約農家や障害者施設など約10の個人・団体が、傷やサイズ面などで出荷基準に満たない野菜を持ち込んでいる。
家庭菜園の余剰野菜を提供する人もおり、多い月で100キロ超の野菜を調達するといい、レストラン向けに製造する総菜や店頭販売の弁当などに使っている。こうした「物々交換」による仕入れは、食材調達コストの軽減に加え、朝採りなど鮮度の高い野菜が入手できるメリットもある。
23日は、東松島市のピアノ教室・書道教室経営、渡辺明子さん(56)が、家庭菜園で収穫したかごいっぱいのダイコン、ハクサイ、ナガイモなどを持ち込んだ。この日でスタンプが30個たまり、帰りにカフェへ立ち寄ってプリンやパンと交換した。
2年ほど前にサービスを知り、野菜の持ち込みを続けている。「カフェのスイーツは専門店に負けないくらいおいしいので、野菜作りを頑張った自分へのごほうびにしている。施設で働く人たちの支援にもつながるので、これからも続けたい」と話した。
同法人の木村直隆代表理事(50)は「牛乳や砂糖などの食材価格が上昇しているだけに、野菜の持ち込みは大変ありがたい」と感謝する。その上で「規格外野菜の有効活用は食品ロス削減につながり、スタッフが手がけたスイーツをより多くの人に味わってもらうことは、自立に向けた後押しにもなる。PRに力を入れ、より多くの人にサービスを利用してもらいたい」と語った。
(都築理)
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