石巻、女川魚市場・2024年実績 水揚げ量、前年下回る 金額は下げ幅小さく
石巻、女川両魚市場は28日、年内の業務を終了し、今年の水揚げ実績が確定した。両市場とも地球温暖化による海況変化や天候不順で不漁や休漁に見舞われ、数量は前年を大きく下回った。一方で、金額は単価の上昇やサンマの回復が支え、前年からの減少幅を1割未満に抑えた。
石巻 マイワシ25%減、響く
石巻魚市場の水揚げ量は前年比11.9%減の8万6454トンで、目標の10万トンを大幅に下回った。金額は東日本大震災以降で最高だった昨年から7.9%減り、191億9929万円だった。
全魚種の平均単価は前年より10円高い222円だった。記録が残る1999年以降の最高値を2年連続で更新し、売上高を下支えした。国内の供給量低下に加え、国内消費や海外輸出の伸びで全魚種の需要が高まったとみられる。
魚種別の水揚げ量トップはマイワシで3万3460トンだった。前年比では24.9%減り、全体の数量にも響いた。続くサバは2万3645トンで13.8%減少。海外巻き網船の好漁が後押ししたカツオは6990トンで77.8%増、近年数量を伸ばすタチウオは434トンで2.3倍に増えた。
丹野大治専務は「今年はしけ続きで休漁日も多かった」と振り返り、「来春のイワシが順調に増え、漁にも出ることができれば、全体の目標金額200億円を達成できる見込みはある」と語った。
女川 定置不漁、サンマ補う
女川魚市場の水揚げ量は前年比25.1%減の2万1897トン、金額は3.0%減の75億9781万円だった。主力の養殖ギンザケは、春先の稚魚減少の影響で25.9%減の4544トン、金額は18.4%減の37億4998万円だった。低調だったものの水揚げ高の5割を占めた。
サバやイワシを水揚げする大型定置網漁は50.5%減の7807トン、金額が31.5%減の11億4956万円と、不漁に見舞われた。
近年に深刻な不漁が続くサンマは3765トンで、比較的好調だった前年の2.0倍に増えた。漁場の南下などが要因と見られる。金額は2.1倍の19億51万円。サイズも100~110グラムが主体で、80~90グラムが目立った近年と比較して大きかった。
丹野秀之専務は「大型定置網の不漁をサンマの売り上げがカバーした形」と評価。サンマについては「激減する前には1万トン前後が捕れた。不漁を脱したとは言えない」と述べ、「総体的に不漁。来年は何でもいいから捕れてほしい」と海洋資源の回復を願った。
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