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無病息災願い、獅子舞う 頭ガブリ「いいことありそう」 石巻、東松島

■東松島・大曲浜地区

道の駅東松島で披露された獅子舞

<道の駅でも披露 勇壮な演舞、復興祈る> 

 東松島市大曲浜地区で350年ほど前から続く市無形民俗文化財の正月行事「大曲浜獅子舞」が2、3の両日、市内の住宅や商業施設などで披露された。

 2日は地区内の玉造神社で神事と演舞が行われ、東日本大震災後に多くの住民が移り住んだあおい地区の住宅を巡った。昨年11月にオープンした道の駅東松島でも舞を披露。笛と太鼓の音と共に勇壮に舞い、初売りに訪れた客を魅了した。

 道の駅で獅子に頭をかまれた新潟市の小学3年竹内洸揮さん(9)は「獅子舞は怖いけどかわいくてかっこよかった。頭をかまれていいことがありそう」、弟で幼稚園児の琉悟君(6)は「がぶりとかんでもらった。頭が良くなりそう」と喜んだ。

 東松島市が地元という父の良憲さん(47)は「獅子舞を見る機会が減る中、子どもたちに見せられて良かった。伝統を残すことは大変だと思うけど、津波があっても続けていることがすごい」と話した。

 獅子舞の披露は、無病息災や東日本大震災からの復興を祈願して行われてきた。保存会の土門勇樹会長(42)は「みんなに1年元気で過ごしてもらいたい」と願い、能登半島地震の被災地に向けて「(思いを)届けるのは難しいが同じような体験をした。復興を願っている」と語った。

■石巻・上釜地区

上釜地区を練り歩いた保存会の獅子舞

<80カ所巡回 「春祈祷」伝承続ける>

 石巻市上釜地区の釜獅子舞保存会は2日、正月恒例の「春祈祷(きとう)」を行った。会員が地区内を練り歩き、民家や事業所などで演舞を披露。住民の無病息災や家内安全を祈願した。

 稲荷神社での神事後、約30人が地区内や蛇田地区などの計80カ所ほどを巡った。笛や太鼓のはやしに合わせて、獅子が軒先や屋内で軽快に舞い、住民らの拍手を呼び込んだ。

 獅子は住民一人一人の頭をかみ、平穏な一年となるよう祈願。住民の古藤野弘さん(72)は「年頭に活気のある舞を見せてもらい、すがすがしい思い。今年1年頑張ろうという気分になれた」と話した。

 上釜は、東日本大震災の津波被害が大きかった地区の一つ。震災後、住民の地区外への流出が続き、江戸時代から伝わるという獅子舞の伝承も一時は途絶えかけた。春祈祷はかつて2日間かけて約200カ所を巡っていたが、現在は70~80カ所という。

 それでも近年は地元の子どもたちが伝承に加わり、今年は、児童生徒の「子獅子」も初めて練り歩いた。保存会の山田幸広会長(48)は「春祈祷は地区にとって正月の大事な行事。若い担い手も育っており、これからもしっかり守っていきたい」と話していた。

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