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古里題材の作品に意欲 石巻出身の俳優・波望さん、東京で舞台出演 来月

舞台「あの時あの場所で~石巻立町商店街~」に出演する波望さん

 石巻市出身の俳優波望(なみの)さん(28)=東京都=が2月5~9日、東京の阿佐ケ谷シアターシャインで上演する「あの時あの場所で~石巻立町商店街~」に出演する。8月の石巻公演も正式に決まり、古里の商店街を題材にした舞台に意欲を見せる。

 「Team曼荼羅(まんだら)ジャンキー」(東京)の作品で、脚本が同市出身のペ☆ヤングさん(本名・秋月昌広さん)。波望さんにとっては前作「繋(つな)がる鼓動~12years later~」(2023年初演)に続く出演になる。立町商店街で洋食屋を営む男性が東日本大震災で全てを失うが、舞台はその先に起きる出来事を描く。波望さんは男性の妻の役で、赤ちゃんを身ごもっている設定。

 立町商店街をモデルにしたことについて、波望さんは「ペ☆ヤングさんは私より20くらい年上で門脇中出身と聞いている。たぶん人通りがあり、いろいろな店があって活気のあるころの立町を知っていて、そこからこの物語が生まれたのかも」と想像する。

 「曼荼羅は基本的にコメディーの劇団。震災を扱っているが前向きになれる力、明るく生きる力、希望をもらえる」と強調する。前作もペ☆ヤングさんの脚本で、3人の震災孤児が力強く生きる姿を描いた。

 「今回はある奇跡が起きる。どんな奇跡か舞台を楽しみに見てほしい」と語る。小さな新しい命を宿しているという役にも意味がありそうだ。

 震災時、波望さんは青葉中2年生だった。津波で自宅が流失し、亡くなった友人もいた。「私だからこそ伝えられるものがあるはず。自分なりの表現力を身につけたい。人生に無駄になるものはない。全ての経験を心の糧にし、演技に生かしたい」。俳優として震災と向き合う覚悟を示す。

 昨年3月に市内のライブハウスで上演した「繋がる鼓動」に続いて、石巻公演が実現する。「立町商店街」は8月9、10日の2日間、シアターキネマティカ(中央1丁目)で披露される。「芝居を通じて古里・石巻とのつながりを強めたい」

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