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抽象画が米国で人気、石巻出身のアーティスト高橋さん 昨秋、5点買い取られる

昨年、米国で買い取られた作品「砂糖で頭を溶かしたい」(66.2センチ×91センチ、アクリル絵の具・ペン、2023年制作)
高橋梨紗さん

 石巻市出身のアーティスト高橋梨紗さん(30)=埼玉県=の抽象画が米国で人気を呼んでいる。昨年10、11月ごろ、ボストン市内のギャラリー「レイサン・キアヌLLC」を通して5点が買い取られた。高橋さんは「私の絵が海外に旅立つのは不思議な気持ち」と話す。

 高橋さんとレイサン・キアヌLLCのつながりは、2023年1月から2月にかけてギャラリー企画展に高橋さんの作品を展示したのがきっかけ。

 両者の架け橋になったのが京都市の「桃青京都ギャラリー」。感性の赴くままに線を走らせながらピンクや水色を主体に描いた高橋さんの独創的な抽象画にいち早く注目し、レイサン・キアヌLLCに紹介した。

 高橋さんの抽象画は米国の美術愛好家らの心も捉え、23年の企画展では6点が収集家たちの手に渡った。

 今回は、レイサン・キアヌLLCが桃青京都ギャラリーを通して、高橋さんに「作品を見せてほしい」と依頼。高橋さんがアトリエに保管していた作品の中から、レイサン・キアヌLLCが5点を選んだ。

 作品には「他人が見る自分と本当の自分の違い」「今いる世界から出ることはできない」といった高橋さんの思いや生き方が曲線や鮮やかな色彩で抽象的に表現されている。大きさは小品(14センチ×18センチ)から大作(65センチ×91センチ)までさまざま。

 その5点をまとめて購入したのはコロラド州の男性弁護士。高橋さんは「自宅のほかに奥さんが経営する歯科医院にも飾ったと聞いた。その作品のタイトルが『砂糖で頭を溶かしたい』。歯科医院と砂糖なので何かおかしい」と笑う。

 米国での人気に戸惑いながらも「気ままに描いた絵を、海外の人が気に入って迎えてもらえてうれしい」と喜ぶ一方、「私のアトリエが寂しくなったので、新作でにぎやかにしたい」と意欲を新たにする。

 高橋さんは都内の会社に勤めながら絵の制作に励んでいる。3月には東京家政大家政学部造形表現学科の同期と「仲間展」を東京・原宿のギャラリーで開く。

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