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石巻出身者の作品、ファンの心捉える 「国展」東京で5月開催

入場者の想像力をかき立てた菊地さんの大作「K通り」
菊地達也さん
高橋梨紗さん

 第98回国展が5月1~13日、東京都港区の国立新美術館で開かれた。絵画部門で出品された石巻市出身者2人の作品が美術ファンの心を捉えた。

 国展は日本の美術界をけん引する国画会が主催。会員展と公募展で成り立つ国内最大規模を誇る美術展で、絵画・版画・彫刻・工芸・写真の5部門で構成している。

 会員展に出品した同市出身者は菊地達也さん(67)=東京都=。昨年に続く洋画「K通り」(縦194センチ×横324センチ、油絵)シリーズ。大胆な構図の抽象画で、作品の中央にオレンジ色のベルト地帯を配した大作は離れた場所からでも目立った。

 菊地さんは「ベルト地帯を挟んで上と下は全く同じ幅にした。単純な構図にすることで、いかに鑑賞に耐えられる作品にするか、表現者としての力量が試された。見に来た人が絵からいろいろと想像して楽しんでいる姿がうれしかった」と語った。

 もう1人は公募展で3年連続入選を果たした高橋梨紗さん(29)=埼玉県戸田市=。作品名が「お砂糖の死海」(F130号、アクリル・ペン)とユニーク。ピンクや黄、水色といった明るい色を主体に、感性の赴くままに自由に曲線を走らせた抽象画が入場者の目を楽しませた。

 高橋さんは「ケーキなど甘い物が好き。その思いをキャンバスにイメージして描いた」と話した。

 2人は石巻市の美術教育研究所アトリエ・コパンの出身。菊地さんは東京・銀座の老舗ギャラリー日動画廊が取り扱う作家の1人で抽象画の実力派。高橋さんは国展で過去に入賞も2回経験している若手有望株。昨年は米国ボストン市のほか京都市のギャラリーに出品するなど精力的に活動し、内外から注目されている。

明るい色使いで入場者の目を楽しませた高橋さんの「お砂糖の死海」(上)

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