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緑の環境プラン・コミュニティ大賞に「たぶのきネットワーク石巻」 子どもたちと森再生へ

植樹活動に取り組むたぶのきネットワーク石巻のメンバーと市内の子どもたち=2024年11月(たぶのきネットワーク石巻提供)
コミュニティ大賞受賞の喜びを語る長谷川代表

 石巻市稲井地区で森林再生に向けた活動を行っている市民団体「たぶのきネットワーク石巻」(千葉市)が、緑豊かなまちづくりを後押しする「緑の環境プラン大賞」(都市緑化機構など主催)で本年度のコミュニティ大賞に選ばれた。森林資源を生かした出前授業や工作イベントを通じ、豊かな自然や地域の歴史を次世代に継承する取り組みが評価された。

 同団体は、市内中学校を卒業した首都圏在住者で結成していた復興支援団体が前身。2016年に解散後、支援継続の必要性を感じたメンバー有志が新たに、たぶのきネットワーク石巻を立ち上げた。石巻市沢田の市有林で草刈りや植生観察、学校と連携した自然学習の出前授業、現地での工作イベントなどを展開している。

 市有林は04~05年度、市の「実りの里山創生事業」の一環で整備され、松くい虫の被害林を伐採した約1ヘクタールに広葉樹や果樹など約1000本を植えた。ただ同団体によると、その後は十分に利活用されていなかったという。

 団体は21年、林の再生事業に着手。下草を刈り、植生の調査を始めた。長谷川郁子代表(78)=千葉市=は「林にはエノキやクヌギが多い。それらを好む(希少種チョウの)オオムラサキが育つ場になってほしいと考えた」と振り返る。

 多様な木々や生物の空間を子どもが自然に親しむ空間にするため、気軽に足を運べるよう階段がある登山道も整備した。近くの稲井小や稲井幼稚園の子どもの「学校林」として、生き物探しやドングリ拾いなどの自然学習につながった。

 稲井地区には、平安時代の創建と伝わる長谷寺、国指定史跡の沼津貝塚がある。長谷川代表はこうした地元の史跡や歴史にも目を向け「これからは森と共に、地域の歴史や文化も未来に伝わるような活動をしたい」という。

 緑の環境プラン大賞では同団体など全国8団体が、地域コミュニティー形成につながる「ポケット・ガーデン部門」のコミュニティ大賞に選ばれた。各団体には緑化整備費として上限150万円が助成される。同団体は雅楽コンサートなどに助成費を活用する。

 表彰式は昨年12月、都内であった。長谷川代表は受賞に当たり「市有林整備から20年がたち、木々が立派に育つなど、活動の状況に恵まれていた。当時植樹をした子どもや、林を管理してくれた森林組合に感謝したい」と話している。

たぶのきネットワーク石巻

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