文化庁・地域功労者表彰 皿貝神楽保存会が受賞、長年の継承活動を評価
県の無形民俗文化財に指定されている石巻市の「皿貝法印神楽」の保存会が、文化庁の「2024年度地域文化功労者表彰」を受賞した。長年にわたり地域の神楽文化の継承に尽力している点が評価された。市内での受賞は6団体目。
皿貝法印神楽は同市皿貝地区の大日孁(おおひるめ)神社を中心に伝承されてきた。神社の口伝によると、1616年、京都で能を習得した成就院(現在の大日孁神社)の法印が帰郷し、「古事記」を台本に編み出したとされる。
神楽舞の奉納は法印たちが行っていたが、明治時代の神仏分離令で離職者が多くなり奉納できなくなった。存続が危ぶまれたが、当時の宮司が保存に力を注ぎ地域住民に受け継がれた。
皿貝法印神楽保存会は「皿貝神楽団」として1879年に結成。1980年に現在の名称になった。82年に旧河北町、90年に県の指定無形民俗文化財となり、これまで県教育功労者表彰や県文化の日知事表彰などを受賞している。
保存会には現在20~70代の氏子15人が所属し、毎年4月から11月ごろまで週2回、神社社務所で練習に励む。7月の例大祭や民俗芸能大会で舞を披露し、飯野川小児童への神楽指導にも取り組む。
保存会の佐藤正美会長(57)、佐藤秀平前会長(73)、及川健宮司(54)の3人が1月29日、市役所で斎藤正美市長に受賞を報告した。斎藤市長は「かなりの伝統がある神楽。これからもしっかりと継承してほしい。表彰を機に市民にもっと知ってもらい、誇りに思ってもらいたい」と語った。
佐藤会長は取材に「歴代の先輩方が活動を続けてきてくれたことで、この賞をいただけた。会員以外の氏子にも舞台設営などで協力してもらっている。無形と言われている物だが、下の代にもできるだけそのまま教えていきたい」と語った。
地域文化功労者表彰は、地域の芸術文化の振興や文化財の保護などで功績があった個人・団体に対する文部科学大臣表彰。本年度は芸術文化分野と文化財分野を合わせて全国97の個人・団体が選ばれた。
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