いしのまき食探見 > 大平うどん 熱々のあん、具だくさん
海と山とで育まれる豊かな石巻地方の食材。伝わる文化と技を生かした郷土の「食」を紹介する。
大平うどん
たっぷりのあんがかかったうどんに、シイタケやタケノコ、かまぼこなどの具材が並ぶ。「大平(おおひら)」や「大平うどん」と呼ばれる、石巻地方の郷土料理だ。
冬になると石巻市中心部など石巻地方の限られた地域のそば店に登場。いわゆるあんかけうどんで、全国的な知名度がある「おかめうどん」に似ているとされる。地元の法要などでなじみ深い、くるみ豆腐にシイタケなどを添えてあんをかけた精進料理「平椀(ひらわん)」が起源という説がある。
石巻市中央2丁目で創業300年の老舗「そば処(どころ)もりや」では、先代店主の森俊男さん(88)と節子さん(82)夫妻が店を継いだ1960年ごろ、すでに冬の看板メニューだったという。
同店では、ゆでたうどんの上に、下味を付けた鶏肉や栗、セリなど10種類の具材を並べ、そばつゆにとろみを付けたあんをなみなみと注ぐ。カツオやサバのだしにユズが香り、どっしりとした見た目とは裏腹にあっさりとした味わいだ。長年のファンという年配客はもちろん、若い観光客をはじめ幅広い層に人気だ。
だしが染みた麩(ふ)やタケノコの食感を楽しみながら、熱々のあんがからんだうどんをすする。体が芯から温まり、店を出ると、雪交じりの北風も心地よく感じられた。(相沢美紀子)
<メモ>
石巻市中心部や飯野川地区、東松島市などのそば店で提供する。「おくずかけ」と同様、麺と具にとろみを付けた郷土料理だが、主に家庭で味わうおくずかけと違い、大平は飲食店で食べることが多いとされる。そば処もりやでは3月下旬まで提供している(1150円)。
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