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震災体験の映画、イオンシネマ石巻で公開 石巻出身の佐藤監督作品2本 14日から

「春をかさねて」(2019年)のワンシーン (c)Sonomi Sato

 石巻市出身の映画作家佐藤そのみさん(28)=東京都=が東日本大震災での体験を基に制作・監督した自主映画「春をかさねて」(2019年)と「あなたの瞳に話せたら」(同)の2本が、14日からイオンシネマ石巻(石巻市茜平4丁目)で公開される。3月にはシアターキネマティカ(同市中央1丁目)での上映も決まった。佐藤さんは「楽しんでいただければ」と地元での劇場公開を喜ぶ。

 これまで上映会は公共施設や集会所などを会場に行われてきた。昨年12月、佐藤さんの「純粋に映画として出合ってほしい」という熱意が実って東京・渋谷の映画館での公開が初めて実現。これを皮切りに京都など他の都市にも広がり、ついに地元の映画館での上映にこぎ着けた。

 イオンシネマ石巻の入江悠平総支配人(41)は「石巻の映画館として応援していきたい」と後押しする。

 3月12~16日(13日休映)に上映するシアターキネマティカの矢口龍太さん(42)は「震災があったから上映するのではなくて、劇場として一作品として向き合いたい。これが佐藤監督にとっても良いのだろうなと思う」と強調する。

 県内の他の映画館でも相次いで公開されることが決まった。イオンシネマ新利府とイオンシネマ名取が21日から、フォーラム仙台が3月7~13日となっている。

 佐藤さんは「こんなにたくさんの映画館で上映してもらえるとは思ってもいなかったので本当に驚いている」と感激。その上で「約6年前、大人になりきれていない22歳の私が『地元の方たちの心を少しでも楽にしたい』と、石巻の皆さんにも出演・協力して頂き作った2本。ぜひ映画館で楽しんでほしい」と呼びかける。

 地元では舞台あいさつが行われる。イオンシネマ石巻は、15日午前11時半の回上映終了後に予定している。

   ◇

 「春をかさねて」「あなたの瞳に話せたら」の両作品は、佐藤さんが日大芸術学部映画学科時代に手がけた。中学2年の時に東日本大震災の津波で石巻市大川小6年だった妹を亡くした佐藤さん自身の葛藤が刻まれている。

■劇映画「春をかさねて」(45分) 
 震災直後の同市大川地区を舞台にしたフィクション。震災で妹を亡くした14歳の少女の内面を見つめた作品で、佐藤さん自身の体験が重ねられている。キャストやエキストラには同市の俳優や大川地区の住民が多数、出演している。

■ドキュメンタリー映画「あなたの瞳に話せたら」(29分) 
 児童・教職員84人が犠牲になった大川小にまつわるドキュメンタリー。震災から8年半が過ぎた2019年12月に撮影。友人や家族を亡くした当時の子どもたちがあれから何を感じ、どのように生きてきたかを、それぞれが故人にあてた手紙を織り交ぜながら震災と向き合う。佐藤さん自身、妹にあてた手紙を読む。

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