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消防団の負担軽減に力 東松島市、運営を模索 夏の演習廃止、実践訓練導入

東松島市内で発生した住宅火災現場に駆け付けた消防団員(左)ら=2024年8月

 東松島市は、市消防団員のなり手不足を解消し、新たな退団を防ごうと、活動環境の改善に力を注いでいる。新年度は出場者が限られていた夏季の消防演習をやめ、全員が参加できる訓練会に切り替えるなど、団員の負担を軽減し、意欲に応えられる運営を模索する。(西舘国絵)

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 市消防団の充足率は2005年の発足以来、8~9割。19~22年度に1桁の増減で推移していた団員は23年度、入団者15人に対して退団者が56人に上る大幅減になった。

 阿部義信防災課長は危機感を隠さない。「新たな団員が入らないのは全国的な傾向だが、現団員が退団しないよう活動の見直しを図らなければならなくなった」と語る。

 取りやめるのは例年8月ごろに実施していた演習。消防団員全員が招集されるものの、代表の団員が送水や小型ポンプ車の操作などを実演していた。

 市が昨年9~10月に団員を対象に実施したアンケートが、改革のきっかけになった。演習や大会に向けた訓練や支援が活動の負担になっていると答える声が多数上がったからだ。

 市防災課によると、演習などに向けた練習は1カ月以上に及ぶケースもあり、負担を感じる要因になっていた。出場団員中心の練習になり、全団員を対象にした練習が十分に確保できていない面があるという。

 一方、団員が参加したい講習や訓練には、消火や大規模災害など実践に向けたものが挙がった。

 回答を基に、市防災課は昨年12月、消防団改善計画を策定。夏の演習の取りやめと、放水やポンプ車整備など実践的な訓練会の導入を決めた。今後も幹部講習会や火災予防運動などを見直し、負担軽減を図る。

 阿部防災課長は「団員は地域への思いがあって入団している。実践に役立つ訓練を実施して退団を防ぎたい」と述べた。

 消防団には現在約560人が所属する。団員の8割を40代以上が占め、65歳以上が70人に上る一方、20代は約20人ほどと層が薄い。

 若手団員の確保に向けて市は昨年10月、市内在住の学生に焦点を定めた制度を始めた。1年以上の団員活動でその貢献を証明する「活動認証状」を交付し、就職時の自己アピールなどに活用してもらう。

 消防団長の安倍信さん(64)は「市民の安全安心のため、より実践的な技術を習得し、組織の充実強化を図りたい」と語った。

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