水産の将来へ知恵結集 生産者、県・町職員、大学教員ら議論 女川
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近年の記録的な猛暑で発生するカキ、ホヤ、ホタテのへい死対策と、新たな魚種の養殖導入の可能性を探る会議が10日、女川町まちなか交流館であった。町の若手経営者らでつくる女川水産加工研究会が主催。生産者のほか、県や町職員、大学教員ら10人が海況変化や養殖業の現状、今後の取り組みについて議論した。
東北大大学院の藤井豊展准教授は、海水温の上昇が2023年から顕著になり、三陸沖は世界でもトップクラスになっていることを紹介。「過去にもブリやマダコの水揚げが増えた時期はあるが、近年は生息域の変化のスピードが過去にないほど速い」と語った。
へい死対策については、近年まで目立った被害がなかったため「まずはデータを蓄積していくことが必要」と強調。「生産者と研究者らが一緒に対策に取り組まないといけない」と呼びかけた。
同町小乗浜でホタテなどを養殖する鈴木行雄さん(46)は、北海道から取り寄せる半成貝の多くが死滅している現状を説明。「養殖期間が短くなり、生産量も落ち込んでいる。通年だった作業が期間限定になっているイメージだ」と苦しさを語った。
新たな養殖種の可能性も話し合った。高級食材のトリガイの種苗生産を目指し、町内で研究する町地域おこし協力隊員の長谷川翔亮さん(30)は「女川の海の環境に適している。出荷も1年ほどでできる」と報告し、期待感を示した。
行政側では、町産業振興課の鈴木涼太係長が「西日本でサバの海面養殖をしている自治体がある。女川でも導入できないか可能性を探りたい」と話した。
水産加工研究会の鈴木伸輔会長は「新しいものに取り組むには勇気が要り、漁法の確立など課題も多い。女川の未来のために、これからも関係者が集まる場をつくっていく」と語った。
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