障害者の住みやすい街へ 石巻で「大阪報告会」 先進事例に学ぶ

大阪市の先進事例を学び、知的障害や身体障害を持つ人たちが住みやすい地域を考える「大阪報告会」が石巻市開成のマルホンまきあーとテラス(市複合文化施設)で開かれた。大阪、石巻両市の福祉の違いから石巻に必要なことを話し合った。
大阪市の福祉を経験したのは石巻市のパート阿部陽子さん(59)の長男晃大さん(26)。知的障害と身体障害を持つ車いす利用者で、「自分の力で生活したい」と志し、2024年、障害者の支援策が豊富な大阪市へ移住した。東日本大震災後、大阪市から訪れたボランティアと知り合い、同市の福祉サービスを知ったのがきっかけだ。
晃大さんを診察する石巻市雄勝歯科診療所の河瀬聡一朗所長らが今年1月末、大阪市の障害者支援策を視察した。陽子さんと石巻市の作業療法士、野津裕二郎さん、同市の介護福祉士、千葉恵さんも同行。大阪市の社会福祉法人「ゆうのゆう」が運営する施設などを訪れた。
報告会では、野津さんらが参加者に当日の写真を見せながら、施設の開放感や利用者の芸術性を生かした取り組みなどを説明。大阪市内では事前連絡なしで車いすのまま公共交通機関や飲食店を利用できる点や、ヘルパーを利用することで海外旅行も可能なことも紹介した。
高校生の次男が障害を抱える石巻市蛇田のパート斉藤公美さん(46)は「いつかは自分が世話できなくなる日が来るので、自立した生活を送れるようにするためのヒントを得たい。学校を卒業したり働いたりした経験のある人の話が聞けて良かった」と話した。
大阪報告会は2月23日に開催され、約50人が参加した。河瀬さんは「それぞれの人が持つ熱い気持ちを一つにして活動することが大切。この熱が冷めないうちに再び集まり、今後の活動の方向性を探していきたい」と話した。
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