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まき割り、障害者就労に 高齢者施設で活用 時給アップと経費節減、支え合い実現 東松島

協力してまき割りをする事業所の利用者
ケアハウスの交流スペースでストーブの火に当たる入居者

 東松島市の社会福祉法人ことぶき会が「まき割り」を障害者就労に位置付け、割ったまきを高齢者施設の経費節減に生かす取り組みを進めている。法人が運営する事業所では障害者の時給アップを実現。法人は「高齢者と障害者の支え合い」と手応えを感じている。(西舘国絵)

 法人が運営する同市小野のケアハウス「はまなすの里」。今月12日、寒さが厳しい屋外とは別世界のような暖かさだった。

 利用者がまきストーブ2台を囲む。入居者の多田雄さん(68)は「暖かくていい」。デイサービスに通う熊谷しつゑさん(90)は「今日は暑いくらいだ」と笑顔を見せた。

 ストーブに使うまきを割ったのは、法人が運営する同市小野の就労継続支援B型事業所「ひがまつステーション」の利用者。就労の一環で原木や廃材を機械で裁断し、まきに加工する。

 理事長の伊藤寿志さん(53)は「高齢者がいることで障害者の仕事が生まれる。互いが支え合って生きていく好循環にある」と語る。作業する大坂千賀子さん(54)は「まきがパカッと割れると楽しい。施設の皆さんの役に立つならうれしい」と話した。

 まき割り就労は思いがけないところから始まった。数年前、ケアハウスにヤギ小屋を建てた際、大量の端材が発生。まきにして処理しようと施設にストーブ1台を設置したところ、継続して使えばまき代が1シーズン当たり約15万円と高額になることが判明した。

 費用を抑えようと建築業者などから木材を譲り受け、伊藤さん自らまきを割るうち、就労のメニューに加えることを思いついた。実践している事業所は石巻地方になかったが、他県の事業所を視察して「できる」と確信。2023年の事業所開設からまき割り就労に乗り出し、現在はひがまつステーションの1台を含むストーブ3台分のまきを賄っている。

 工賃は時給600円に設定。B型事業所の平均工賃243円(時給換算、2022年度)より倍以上高い。ストーブ利用で浮いた光熱費やまき購入にかかるはずだった費用が原資になっている。まきは今後、販売も検討している。

 伊藤さんは「東日本大震災ではライフラインが1カ月止まり、利用者が亡くなることもあった。ストーブは災害にも強い」とメリットを強調している。

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