被災者見守り 東松島・復興支援員、2025年度で活動終了 民生委員へ橋渡し
東松島市で被災者見守りに取り組む復興支援員の活動が2025年度いっぱいで終わる。東日本大震災の第2期復興・創生期間(2021~25年度)終了に伴い、活動を後押しする交付金が終了するためだ。復興支援員活動など生活再建を支える被災者サポートセンター事業も同年度に区切りを付け、被災者支援は転換期に立つ。市などは継続的な支援を見据え、民生委員など既存制度へ橋渡し機会を設けるなど、被災者との関係構築を急ぐ。(西舘国絵)

復興支援員は総務省の制度。自治体が設置し、地域再生を目指して活動してきた。同市では市社会福祉協議会が委託を受けて12年度に開始。仮設住宅などを回り、被災者の体調変化や困りごとを聞き取ってきた。
活動原資だった国の震災復興特別交付金が打ち切られるため、25年度で活動を終了する。市地域福祉課地域づくり係の及川貴之さんは「被災者支援に終わりはないが、どこかで区切りをつける必要がある」と話す。
復興支援員は現在、災害公営住宅に暮らす被災者のうち295世帯約400人を見守り続けている。8~9割が高齢者世帯で半数近くが独居だ。加齢が進めば今後、健康や介護の不安が増えることが予想される。
及川さんは「1番大事なのは寄り添って話を聞いてくれる相手がいること。住民同士のつながりづくりも含め、孤独・孤立をどうやって支え合うかが課題だ」と語った。
被災者を既存の見守り制度につなげようと、市社協は2月22日、災害公営住宅入居者約100人を招いたコンサートを市矢本西市民センターで開いた。歌手さとう宗幸さんら県ゆかりの歌手による「みやぎびっきの会」が「花は咲く」などを歌唱。温かな歌声を会場に響かせた。
主眼はコンサート後のランチ交流会。包括支援センター職員や民生委員らが壇上から自己紹介した後、来場者と机を囲み、委員手作りの郷土料理を食べて交流を図った。
市民生委員児童委員協議会の千葉春雄会長(76)は「悩みごとはなんでも聞き、守秘義務も守る。心配しないで相談してください」と会場に呼びかけた。交流会が円満に終わると「喜んでもらえてよかった。これからは民生委員の役割が増す。市民が相互に支え合わなければいけない」と気を引き締めた。
市は25年度での被災者サポートセンター事業の終了を受け、縦割りを排して社会福祉課題を支える「重層的支援体制」を26年度から本格実施する。市は「これまでと変わらない被災者サポートを続けるため、支援体制を整えていく」(福祉課)考えだ。
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