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災害公営住宅入居者を戸別訪問 石巻市、見守り事業を継続 本年度で国の支援終了

 石巻市は、東日本大震災の災害公営住宅入居者らを戸別訪問する見守り事業について、国の財政支援が打ち切られる新年度以降も継続する方針を決めた。入居者の高齢化率が高く、新たなコミュニティー構築が十分でない地域もあることから、孤立や孤独死防止のため継続が必要だと判断した。

 見守り事業は災害公営住宅の入居全世帯などが対象。地域生活支援員らが戸別訪問し、必要に応じて支援機関につなぐ。国の被災者支援総合交付金で支援員の人件費や活動費の全額を賄い、2022年度は5657万円が措置された。

 交付金の活用は当初、復興期間10年の20年度までの予定だった。市は被災者の入居後5年程度は継続した見守りが必要だとして復興庁と協議し、23年度まで延長が認められていた。

 新年度以降は国の財源が使えなくなるが、災害公営を含む市営住宅入居者は、23年末時点で65歳以上の単身世帯が全体の34.8%を占める。入居者同士の顔の見える関係づくりが進まない地区もあるため、市は見守り活動の継続を決めた。財源には市営住宅管理運営基金を充てる。

 本年度は市社会福祉協議会に事業を委託し、支援員15人を配置。対象約4680世帯のうち、特に配慮が必要な約1400世帯を月2回ほど訪問していた。

 新年度は対象を単身の高齢者と、特に配慮が必要な世帯に絞る一方、災害公営だけでなく一般の市営住宅にも広げる。昨年8月時点での対象は災害公営約870世帯、一般市営約190世帯の計約1060世帯。当初は相談支援連携員5人の配置を予定。月2回程度訪問し、安否確認や孤立予防に当たる。

 市生活再建支援室の担当者は「『財源がなくなったからやめる』という状況ではない。家族とのつながりも把握するなど、従来よりも入り込んだ見守りにしたい」と語った。

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