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慶長遣欧使節団・ローマ法王謁見410年 交流活性化へ 駐バチカン大使、サン・ファン館訪問

平川館長(中)の案内で館内を視察する千葉氏(左)

「世界の研究者、石巻に」

 支倉常長が率いた慶長遣欧使節団(※)がローマ法王庁(バチカン)でローマ教皇に謁見(えっけん)してから今年で410年になるのに合わせ、駐バチカン大使館の千葉明特命全権大使が17日、石巻市渡波の県慶長使節船ミュージアム(サン・ファン館)を訪問した。常長らの業績を語り継ごうと、同施設と協力体制を構築したいといい、千葉氏は「世界の研究者を招いた学術シンポジウムを(サン・ファン館で)開きたい」と意欲を示した。

 千葉氏によると、バチカンでは10年、25年単位などの節目を重んじる文化があり、大使館も410年目の交流の活性化を探っているという。同館が昨年10月にリニューアルを終えたため、この日来訪した。

 千葉氏は、同館の平川新館長や支倉常長家14代当主の支倉正隆さん=兵庫県=、斎藤正美石巻市長らと会談。同館を視察後、取材に「想像以上に立派な施設で、学術シンポジウムに十分耐えうる(展示)内容だ。イタリアなどの研究者にも知ってもらう機会にしたい」とシンポジウムの実現への意欲を語った。

 平川館長は「願ってもないチャンス。リニューアルでは、使節団が世界とどう交わったかを重点に展示を作り替えた。使節団の意義が国内外で再評価されており、さらに節目を盛り上げたい」と歓迎した。

 斎藤市長は「東日本大震災からの復興でバチカンにお世話になった恩に報いるためにも、両国の絆を強め、互いの理解につなげたい」と期待した。

 同館は410年の節目を祝い、今秋以降、使節団の行程や、ローマ教皇との謁見に至った経緯や要望などについての企画展を予定している。

(※)慶長遣欧使節団:1613(慶長18)~20(元和6)年、伊達政宗が領内でのキリスト教布教容認を条件にメキシコとの直接交易を求め、スペイン、ローマに派遣した。大使の支倉常長、宣教師ソテロら一行が洋式帆船「サン・ファン・バウティスタ号」で出港。太平洋を渡り、メキシコを経て、スペイン国王フェリペ3世、ローマ教皇パウロ5世に謁見した。幕府によるキリスト教の取り締まりが強化され、常長らは目的を達成できずに帰国した。

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