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いしのまき復興マラソン、あす号砲 再生へ歩む街なか駆ける

 東日本大震災から14年となった被災地の今を感じてもらう第8回いしのまき復興マラソンが23日、石巻市南境のセイホクパーク石巻(市総合運動公園)を発着点とするコースで行われ、30種目計約3000人が参加を申し込んだ。メインのハーフマラソンは東北一の大河、北上川を吹き抜ける風を浴び、沿道の声援を受けながら、ランナーが駆け抜ける。

 コースは2023年6月の第7回大会まで設定していた海沿いから変更した。ハーフは市民の応援が届きやすい市街地を走る。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて第6、7回大会で実施が見送られていた2キロ、3キロ、5キロの部などが復活。小中学生が参加しやすくなった。

 ハーフには前回の倍以上となる約1500人がエントリー。ファミリーの部も人気で、想定を超える106組212人が申し込んだ。10キロには約690人、5キロに約230人、3キロに約40人、2キロは約170人の申し込みがあった。

 ゲストランナーは女子マラソン元日本記録保持者の渋井陽子さん、03年パリ世界選手権銅メダリスト千葉真子さん。招待ランナーはランニングクラブ「RUNDY」(仙台市)の代表渡辺利典さん。

 企業対抗リレーマラソンが新設され、県内と岩手県の計4団体が参加。メンバー5人が運動公園内のふれあいグラウンドを計8周する。

 主催は石巻市、いしのまきスポーツコミッション、市スポーツ協会、河北新報社、三陸河北新報社などで組織する実行委員会。

新コース 平たんな道、走りやすさ追求

雄大な北上川の景色を楽しめるハーフマラソンのコース=石巻市蛇田

 新コースはほぼフラットで、走りやすさを追求し、前回大会まであった日和大橋のような高低差の大きいポイントはなくなった。

 ハーフは午前10時、石巻市南境のセイホクパーク石巻(市総合運動公園)をスタートする。文化芸術分野の復興のシンボル、マルホンまきあーとテラス(市複合文化施設)前、石巻専修大前を通過し、石巻商高の手前が往路5キロ地点となる。緑豊かな北上川左岸を横目に走る。開北橋を渡って市街地へ入っていく。

 商店や飲食店などが立ち並ぶ中里地区のバス通りは約2キロ。沿道の声援を受けながら、北北上運河の中里新橋を右折。津波で被災し、修復を終えた国の重要文化財「石井閘門(こうもん)」から北上川に最接近、上流へと向かう。

 三陸沿岸道石巻女川インターチェンジ(IC)につながる曽波神大橋をくぐって、約1キロ進めば折り返し地点。復路は往路とほぼ同じコースで、15キロ地点はいしのまき農協本店付近、20キロ地点は国道398号南境トンネル近くの石巻市美園付近。給水ポイントは往路、復路3カ所ずつある。運動公園内でゴールする。

新種目 企業対抗リレーマラソン

企業対抗リレーマラソンに出場するセイホクの社員たち

 今回から種目に加わった会社やランニングチームによる企業対抗リレーマラソンには、石巻市内外から4団体がエントリーする。合板会社で同市重吉町に工場を構える「セイホク」(東京)は走りの楽しさを体現し、大会を盛り上げる。

 新種目は同市南境のセイホクパーク石巻(市総合運動公園)にあるふれあいグラウンドで実施。グラウンドの外周、1周約620メートルの特設コースをタスキリレーでつなぐ。1~3走が1周、4走が2周、5走が3周の計8周を走る。

 セイホクチームは総務部や営業部などから7人が出場。1走は野村佳代さん(44)と阿部智恵美さん(43)、2走が柴田恵理子さん(49)と酒田裕美さん(42)、3走が須田公さん(35)、4走は及川雅弘さん(39)、アンカーを菊地夢咲志(むさし)さん(24)が務める。

 最年少で、一番長い距離を走る菊地さんは前回大会で10キロの部に出場した。「今年も楽しく頑張りたい」と話す。

 同社は東日本大震災以前、石巻川開き祭りの孫兵衛船競漕(きょうそう)に出場するなど社内外の交流が盛んだった。新型コロナウイルスの流行で機会は減ったが、「また社員同士で何かやろう」と今大会への参加を決めた。

 阿部さんは「震災から14年。地域の人にはいろんなところで助けてもらっている。感謝の気持ちや一緒に頑張りましょうという気持ちを伝えたい」と話す。

 当日は、そろいのTシャツに、かぶり物、社旗を手にコースを駆け抜ける。

歓迎の言葉

■斎藤正美大会会長(石巻市長) 新たな絆築く機会に

 いしのまき復興マラソンは皆さまからの支援に対する感謝の意を込め、石巻市の復興した姿や被災都市としての経験、震災の記憶、教訓を風化させることなく伝える機会として2015年より開催してきました。

 今大会からは「スポーツの力」「人の輪の力」を集結し、参加者と市民が一体となって作り上げ、未来に向かう大会として、頂いた意見を踏まえて、内容を刷新して開催します。

 復興の歩みを感じ、新たな絆を築く機会です。市内各所へ足をお運びいただき、復興し生まれ変わった本市の姿を肌で感じていただけましたら幸いです。

■伊藤和男実行委員長 次のステージ、つなぐ

 約3000人の参加者をお迎えして開催できることは、大きな喜びであり、心より歓迎申し上げます。

 大会内容を改め、平たんで走りやすいコースに変更したほか、マラソン初心者や子どもたちが参加しやすい競技種目の設定、さらに応援での来場者やレース後の参加者が楽しめる会場内でのイベントなど、さまざまな企画を準備しましてお迎えいたします。

 参加者一人一人にとって素晴らしい思い出となり、「復興」の次なるステージへとつながることを確信しています。皆さまと一緒に走り、笑い、共に未来を切り開いていきましょう。

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