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潮風切って健脚 「津波伝承 女川復幸男」 141人、高台へ全力

商業エリアを駆け抜ける参加者たち

 東日本大震災の教訓を伝えるため、津波避難を想定して高台へ駆け上がる行事「津波伝承女川復幸男」(実行委員会主催)が23日、女川町中心部であった。参加者141人が潮風を切って健脚を競い、津波から命を守る手段を再確認した。

 震災の津波が町に到達したとされる午後3時32分、「逃げろ!」のかけ声を合図に、町まちなか交流館南側を一斉にスタートした。参加者はゴールのJR女川駅前広場を目指し、コース沿いの観衆の声援を受けながら町中心部の商業エリアを駆け抜けた。

 先頭でゴールし「1番復幸男」となったのは福島市の陸上自衛官小島涼太郎さん(24)。3連覇を果たし「先輩自衛官から震災時の経験を聞いた。避難が間に合わなかった多くの方の犠牲を繰り返さないよう、すぐさま逃げる大切さを伝えていきたい」と話した。

 初参加した女川小6年の鈴木碧虎(あおと)さん(12)は小学生部門の「3番復幸男」になった。「1位を目指していたので悔しさもあるが、やっぱりうれしい。津波から逃げていることをイメージしながら全力で走った」と達成感を語った。

 行事は町中心部で同日開かれた「おながわ春のまつり」の一環で、10回目。従来は町役場南側から女川小・中までのコースだったが、今年は商業エリアに変更して実施した。実行委によると、実際の避難経路をたどってもらうほか、観覧者の多い商業エリアを通ることで震災を経験していない世代にも津波の教訓を伝える狙いがあるという。

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