福島第1原発のデブリ回収延期 コロナ影響、最短で1年程度の遅れ

 東京電力は24日、福島第1原発事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出しについて、目標に掲げていた2021年内の開始を断念する方針を正式に表明した。新型コロナウイルス感染拡大により英国で予定した試験を実施できず、最短で1年程度遅れるという。
 定例記者会見で東電福島第1廃炉推進カンパニーの小野明最高責任者は「目標が達成できず、じくじたる思いはある。遅延を最小限にとどめられるよう、引き続き安全最優先で取り組む」と述べた。
 中長期ロードマップ(工程表)は廃炉過程を3段階に分け、デブリの取り出し開始までを第2期(13年11月~21年12月)とした。工程は5度改訂したが、3段階の大枠は11年12月の策定当初から堅持され、今回が初の変更となる。
 初期の取り出しに使用する腕型の大型装置は英国で製造され、8月に性能試験を始めるはずだった。東電によると、現地の研究施設がコロナ禍で3分の1程度に規模を縮小しており、試験を進められていない。
 東電は英国での試験を切り上げ、日本で実施する方針。来年4月に装置を国内へ移送する。英国人技術者の来日も必要になるが、コロナ禍で渡航の実現は不透明。英国でしか実施できない試験も依然残り、遅れ幅はなお流動的という。
 東電はデブリの取り出しを軸に敷地活用などの検討も進める。初期の回収は少量を見込むため他工程の進行には影響せず、51年までの廃炉完了目標も現時点で変わらないという。
 東電はまた、1号機のデブリ取り出しに向けた原子炉格納容器の内部調査にも遅れが生じ、開始が目標の20年度から21年度にずれ込むことを明らかにした。
 炉心溶融を起こした1~3号機のデブリは推計880トン。東電は2号機から順次取り出しを進める計画だが、各号機は内部の状況が異なり、全て回収できるかどうかは見通せていない。

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