仙台の海老名さんに土門拳文化賞 台風19号、丸森の養蚕襲う

自宅で受賞作品を眺める海老名さん=11日、仙台市太白区
海老名さんの受賞作「恵みと試練 丸森2019」の1枚

 優れたアマチュアカメラマンを表彰する第26回酒田市土門拳文化賞に、仙台市太白区の無職海老名和雄さん(77)の「恵みと試練 丸森2019」が輝いた。宮城県丸森町の養蚕農家のまゆ作りと昨年10月の台風19号の爪痕を織り交ぜ、中山間地域の厳しい暮らしを鮮烈に伝える。

 作品はカラー30枚。蚕の幼虫が成長し、まゆを作り、サナギになる過程と、五福谷川が引き起こした土石流の被害を組み合わせた。蚕を世話する農家の日常と、屋根まで土砂に埋もれた民家の写真が並び、予測不能な災害の恐ろしさを強く印象付ける。

 海老名さんは担い手不足に直面する養蚕農家の営みを記録しようと昨年4月、2軒の取材を始めた。まゆ作りの工程を教わりながら数十回通い続け、秋の出荷時期を撮影中に台風19号が襲来した。

 海老名さんは作品について「中山間地域は農産物や伝統工芸といった恵みをもたらしてくれる一方、一度被災するとなかなか立ち直れない。生活弱者の高齢者が受けるダメージは大きく、警鐘の意味を込めた」と説明する。

 カメラ歴50年。4年前に次点の奨励賞を受賞し、3回目の応募で念願のグランプリを受けた。審査員の写真家藤森武さんは「詳細で貴重な記録。組み写真の難しさを克服した見事な写真群だ」と評価する。

 「内定の知らせを受けたときは頭が真っ白になった。夢を持ち続けることの大切さを再認識した」と海老名さん。「記録にとどまらず、人間のありようや本質が表れるような写真を撮りたい」とカメラを構える。

 土門拳文化賞は1994年に始まり、今年は138人から145テーマの応募があった。酒田市土門拳記念館で来年3月7日に授賞式があり、同6日~4月18日に受賞作品展を開催する。

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